2018年のブルームーン日本選手権に出場してきました(後編)




 すっかり書き忘れてた、ブルームーン日本選手権に出てきましたの巻後編です。前編はこちら

 予選の結果、2勝1敗でめでたく3位になりまして無事に決勝トーナメント進出です。

 時間が経ってだいぶ忘れてしまいました……というより、実は準決勝からは元々あまり覚えてません。段々リラックスしてきたのと、やるべきことをやるだけ、という気持ちになってきたからでしょう。(あと個人的には、慣れてる相手同士だからそこまで印象が強くないんですよね……。)
 準決勝以降で変わる点としては、まず同種族対決があります。それから2戦対決ではなく一方が5点取った時点でのポイント勝負です。そして一番大事なポイントは、シングルエリミネーションなので引き分けがありませんから、決着がつくまで2戦ワンセットで何回でも戦います。だから早めに勝負をつけるほうがいいわけです。

準決勝 / vs. 秋山さん

(カズマ)ピラー − ピラー(秋山)★
 ※ ★は先攻です

 準決勝からはお互いに2種族選び、そこから1つを同時にオープンします。秋山さんはホークスとピラー、自分はヴァルカとピラーです。ヴァルカは最近少し分かってきたんですが、ホークス−ヴァルカ戦は予選で苦労したから絶対やりたくなくてピラーにしました。秋山さんが見た瞬間「ピラーかよー」と呻き声をあげてたような覚えがあります。

【方針】
 ピラーにとっては一番楽なマッチアップかもしれません。種族間相性によるプレッシャーがないからです。これが例えばアクア相手だったら4点取られるかどうかで勝負しなきゃいけないんですけど、有利不利がないので勝てる可能性が普通にあるのが、心理的にものすごく大きいです。カードカウントも自分が同じものを見てるから楽だし。
 相手としてのピラーを考えると、ブースターの特殊効果主体で攻めていく種族のため攻撃値は6よりも上が極端に出にくくなりますから、攻撃値7以上が出るなら直ちに押していくのが基本です。炎5のキャラクターがないのも地味にポイントですね。またサポートが少ないためデッキ回転が悪くなりやすいので、序盤に相手の札の巡りが悪ければ一気に戦いを決めてしまうこともできます。逆にイモムシの攻撃値n以上を捨てさせる効果はその巡りを助けてしまうので極力カード公開とセットで使いたい、出しどころに注意、というくらいでしょうか。どのブースターが出たかは当然数えておくべきです。
 秋山さんは多分先攻放棄をしてこないタイプなので、極力後攻を取ってプレッシャーをかけることも意識しながら戦いに臨む。試合前に意識していたのはそんなところです。

【実戦】
 一番印象に残ったのは、秋山さんがすごくやりにくそうにしていることでした。実際レポートでもそう書かれています。
 第5回ブルームーン・レジェンド日本選手権において3位でした - 雲上四季
 これはわかります。普通にゲームを買うと1種族1セットしか当然入ってませんから、あまり同種族対決ってする機会がないんですよね。単純に慣れていないと調子が狂うのはあるでしょう。私は『ブルームーン・マスターズ』執筆の検証プレイ時に、一番弱そうなピラーをなんとか勝たせたくて同種族含めて散々回したので、その慣れが心理的な余裕につながったのはあるかもしれません。

 一方、こうもあります。
 『ピラーは相手の手札を公開させて、一方的に情報を搾取して、戦局が自分にとって有利になるよう働くことが求められますが、ピラー対ピラーだと、お互いに手札をさらしながら遊ぶことになるので、やりにくいったらありません』
 この蝶カードによる手札公開については、自分はちょっと違う感覚を持ってました。というのも、ピラーはほとんど相手の場に干渉することができません。唯一干渉できるのが種族デッキで加わる「P13 カルダス・ニックス」の手札を1枚裏向きに捨てる能力で、蝶カードで手札を表にしてから指名捨てするという鉄板コンボがあります。が、それ以外は相手に手出しできないので、見えてるから何かできるわけではないのです。イモムシとの合わせ技(攻撃値を計算して足りないことを確認してイモムシを出す)も、ピラーはカードの数値が高いので簡単に捨てることができて、決まることが少ないです。ですから私にとっては、蝶カードは相手に来てもそこまで怖くないし、自分が使うときもついでの能力でしかありません。

 そのへんの感覚の違いがなんとなく察せられて、気持ちで押してるな、という感覚がありました。手札の巡りは割と良かったので序盤から薬ブースターを出し惜しみせずサポートと合わせて効率よく攻撃値7〜10を叩き出し、そのサポートは回収を忘れず無駄遣いしない、という基本パターンを愚直にやりつづけて勝ちを拾いました。実力にたいして差があるとは思わないので、大会ならではの心理的な勝ちでしょう。本を書いたことが少しだけ役に立ちました。

【結果】
 P4-0P、P3-0P、7-0:勝ち。

決勝第1試合 / vs. 伊東さん

(カズマ)ヴァルカ − アクア(伊東)★

 3年連続3回目、同じ顔合わせで決勝です。偶々なんやしゃあないんや。
 伊東さんはアクアとフリット、私は準決勝と同じヴァルカとピラーです。

【方針】
 アクアが負ける要素はありません。ヴァルカは瞬間で攻撃値12〜14を出せますが、アクアも3手番くらいで10以上は平気で出せます。ヴァルカには攻撃値サポートが少ないので長期戦になるほどサポートの多いアクアが有利になりますし、キーとなる攻撃値高めのカードも実はそれほど数がない。ですからアクアの山札が2巡目に入るころにはヴァルカが主戦力を使い果たし、何もできなくなっていて負けるパターンが大半です。
 従って、ヴァルカを持つときは勝ちを目指す戦いではなく、損害を抑える戦いをします。特にヴァルカは山札の回りが悪いのでドラゴン2匹勝ちは諦め、叩けるときは早めに叩く。アクアが攻撃値3のサポートや洪水を積んできたら早めに撤退して流し、そこから再度同じ元素でこちらから攻める。攻撃値12や14を小手で出すときも、6枚積むまで待っていたらアクア側のサポートが整ってしまうので勇気をもって早めに出す。あとはアクアの攻撃値の偏りを利用して、極力同じ元素で攻めて、サポートはカウントしておく。
 逆にアクアを持つときは大勝ちを狙います。怖いのは炎の壁と恐怖の亡霊絡みの2点くらいで、あとは自信を持って攻めていきます。4点取れたら取りたい! 伊東さんがよく言ってますけど、ブースターを無駄打ちする勇気!

【実戦】
 そのように打ちました。というか伊東さんとは一緒に攻略本書いてるから上に書いたようなこともお互い知ってるわけで、最善と思われる手をお互いに打ち続けるのが基本です。俺らがまだヘボで勝ちを拾う妙手を見逃してるのかもしれませんけど、本番で試すの怖いからね……。
 ヴァルカがかなりいい巡りで、ドラゴン引き寄せも決められたし撤退を効率いいタイミングでかけられたし、0-1で負けられたのは大きな快挙でした。

【結果】
 V0-1A、A3-0V、3-1。

ということで両者5点に届いていないので、組合せを変えてもう一戦です。
いま選んだカードを使っても、もう一方に変えてもかまいません。

決勝第2試合 / vs. 伊東さん

(カズマ)ピラー − アクア(伊東)★

【方針】
 ヴァルカと同様です。ピラーはほぼ絶対アクアに勝てません。
 とにかくピラーは攻撃値が伸びません。7以上を出せることが少ないですし、攻撃値12以上を出せるタイミングはあってもアクアは軽々それを超えてきます。逆にアクアは水ブースター2枚でピラーの弱点である攻撃値7を一瞬で出してきます。ミュータントによる元素反転を使う手はありますが、ピラーのミュータントを出す条件がよりによって「相手が6枚以上出していたら」です。危険すぎて使う気になれません。勝ちはないものと思うべきです。
 ですからいかに負けを抑えるか、願わくはカルダス・ニックスで不死の水を落としたいところですが、そういう奇跡には頼らずに堅実にいきます。蝶で相手の元素を見てから逆を突く、早めに攻撃値を引き上げてイモムシも惜しまず投入する、そのへんを徹底することがすべてです。
 アクアの側はかなりの程度手札の偏りに左右されますから、都合悪いイモムシは来ないように祈る。ブースターやサポートが逆側元素でもとにかく6枚に届かせるように出す、高い攻撃値のキャラクターは使ったことを覚えておく、惜しまないで回す、回す、回す。空振りを恐れない、撤退を恐れない。勝とうと欲張らない。

【実戦】
 そのように打ちました、としか言いようがない一戦でした。大きく相手に流れを渡さないことが肝心で、あとは引き次第なところもあります。正直、アクア対ピラーのマッチアップで戦略とか言いようがありません。デッキに対する知識が問われる感が強いです。
 そんなわけで……。

【結果】
 P0-4A、A3-0P、6-5:勝ち。


 勝ちました。優勝しました。
 この日は調子悪かったので勝った瞬間「疲れた……」という思いがふっとやってきましたが、少し置いて喜びもちゃんと湧いてきました。よかった。おかげさまで皆さんがお祝いしてくれて、ありがたかったです。

ということで

 1年間は日本チャンピオンを名乗れます! やったよ!

 いやでも、今まで伊東さんにほとんど勝ててなかったので嬉しさはひとしおです。他の皆さんも今回強かったし(大会で弱い相手なんていないんですけどね)、過去4回で一番苦労した大会でした。そこで練習も不足していたのに勝てたのは、地道に本を書いてきたご褒美みたいなものかもしれません。
 まだ自分がこのゲームで上級者だとは思っていません。得意不得意がはっきりしてますし、基本デッキのヴァルカ対ホークスも未だに勝ち方がよくわかってないところがあります。やっと種族の半分くらいの使い方を覚えてきたような感じです。まだまだやることは残ってるなというのが、大会に出てみての率直な感想です。
 あとは意外と多くの方に『ブルームーン・マスターズ』を購入したいと言って頂けて、実際に会場でも買ってくださいました。余裕があれば来年再販したいなと思ってます。ぜひ応援してください。
 最後に、大会を主催くださった正田さん、喫茶マーブルさん、お相手くださった皆さま、ありがとうございました。思い出に残る一日になりましたし、皆さんの楽しみに少しでも寄与できていることを願います。

 よし、年を越す前に書き上げたぞ! これをお読みのあなた、来年はぜひ私とブルームーン遊んでくださいね! よいお年を! (紅白歌合戦のサザンを聴きながら)



<2018/12/31>


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