トリックテイキングを遊ぼう(2) - 「切り札」と「ビッド」




前回は、トリックテイキングゲームの流れをご紹介しました。
公開5分後、最初に読んだ妻から「おもしろくないよ」という
ありがたいお言葉をいただきました。涙が出そうです。

でも書く。
いいんだ…。これはルールとか用語の説明だから、
無理に面白おかしくしなくたって…うう…。


まあそれは置いといて、本題に入ります。

多くのトリックテイキングは、さらにゲームを面白くするために
ルールをひとひねりしています。
今回は、そうしたルールの中から、多数のゲームで採用されている
「切り札」と「ビッド」を解説します。

また今回も、いくつかのトランプゲームをあわせてご紹介します。

切り札(トランプ)のあるゲーム

多くのトリックテイキングでは「切り札(トランプ)」が採用されています。

切り札とは、一番強いスートのことをいいます。
さきほど「リードスートが必ずトリックに勝つ」と説明しましたが、
切り札がある場合、リードのスートよりも強くなるため、
リードのスートに優先してトリックに勝ちます

たとえば、切り札がクラブで
リードがハートのQ、以下ハートのA、クラブの2、ハートの5、と出た場合
切り札のクラブがリードのハートに勝ち、クラブの2がトリックを取ります

切り札が2枚以上出たり、切り札がリードだったりする場合は
切り札の中で一番強いカードがトリックを取ります。

このように強い切り札ですが、当然いつでも出せるわけではありません。
マストフォローのゲームであれば、必ずリードスートを出さなくてはならないため、
リードスートが手札にないときしか、切り札は出せません


切り札の決め方は、ゲームにより異なります。
・ゲームを通じて予め決まっている
・配った最後の1枚や、配り残しの山札の一番上などが切り札になる
・ディール前の獲得トリック数宣言で、切り札にしたいスートを一緒に宣言する
他にもありますが、こういった決め方がメジャーです。

ちなみにプレイヤーの間では、切り札はよく「トランプ」と呼ばれます。
切り札がないことを指して「ノートランプ」と呼ぶことも多いです。
※プレイングカードを日本で「トランプ」と呼ぶのは、この「切り札」が由来です。


では例として、切り札のある簡単なトリックテイキングをご紹介します。

遊んでみよう − ホイスト

チーム戦。4人専用で、向かい合った2人がパートナーになります。
ジョーカーを除く52枚のトランプを使います。
Aが最強で、以下K、Q、J、10…と続き、2が最弱です。

1人13枚ずつ配りきって、最後の1枚を切り札とします。
切り札を配られた人はそれを表にして、全員に見えるように持ちます。
最初のトリック中、この切り札を見せておきます。

ブラックレディ同様、リードは任意のカードを出せて、マストフォローです。
勝敗はブラックレディよりもっと単純で、同じチームで取ったトリック数を合算し、より多くトリックを取ったペアがディールに勝ちます。
手札は13枚なので、7トリック以上取ったペアの勝ちです。

ディールの回数は特に決まっていませんので、
ディーラーを時計回りに交代して、人数分のディールを行うのが
ちょうどいいのではないでしょうか。

シンプルなルールですが、自分が勝つだけでなく、パートナーに勝たせるような出し方が重要です。トリックテイキングのペア戦の入門として、良いかと思います。

「ビッド」で何トリックとれるか賭ける

トリックテイキングの中には、自分が何トリック取るか、
ディールの最初に宣言するタイプのゲーム
があります。

この宣言のことを「ビッド」といいます。何トリックとれるか、賭けるわけですね。
ビッドの方法もいろいろありますが、たとえば

・各自が自分の獲得トリックを宣言し、それを目指す
・ペアでの合計獲得トリックを宣言し、それを目指す
・競りのように獲得トリックを釣り上げていき、最大宣言した人のビッドが有効
・さらに、最大宣言した人のビッドを、他の人は邪魔することを目指す

といったものがポピュラーです。

面白いのは、ビッドするときに切り札を一緒に決めるゲームもあります。
たとえば、有名なトリックテイキングの「コントラクト・ブリッジ」では
ディール最初のビッドで、獲得トリック数と切り札にしたいスートを
一緒に宣言します。
切り札なしでトリックが取れると思ったら「ノートランプで10トリック」
と宣言したりもします。ノートランプのビッドは、他のビッドより強くなります。

ビッドを使ったトリックテイキングも、ひとつご紹介しておきます。

遊んでみよう − オーヘル

個人戦。3〜7人で遊べます。4〜6人が良いです。
ジョーカーを除く52枚のトランプを使います。
Aが最強で、以下K、Q、J、10…と続き、2が最弱です。

最初のディールは1枚ずつ配ります。
配った後、残りのカード(山札)の一番上をめくり、切り札とします。
たとえば、ハートがめくられたら、ハートが切り札になります。

カードを出す前に、ビッドを行います。
ディーラーの左隣から順に、自分が何トリック取れるかを宣言していきます。
(といっても最初は1枚なので、1か0ですね)
口頭で言っても、チップなどを使ってもよいでしょう。

リードは何でもよく、マストフォローです。
リードをフォローできない場合は、切り札を含むどの札を出してもかまいません。
(もちろん、切り札でリードしてもかまいません)
切り札が出ていれば、その中で最強の札が勝ちます。
なければ、リードのスートで最強の札が勝ちます。

獲得トリック数がそのまま得点です。ビッドが成功したら、10点をプラスします。

次のディールは、配る枚数を2枚に増やします。
こうして、ディールごとに1枚ずつ増やしてゆき、配れる最大枚数ぶんのディールを行います。
つまり、4人なら全部で13ディール、5人なら10ディールを行うわけです。
最後のディールでカードを配りきった場合は、切り札なし(ノートランプ)になります。

全ディールの合計得点で、勝敗を決めます。

ビッドの得点が大きいので、うまく成功するような宣言を狙うのがポイントです。
後半になるほどカードが増えていくので、逆転しやすくなっています。



2回にわたって説明しましたが、このくらいのルールを覚えれば
たいていのトリックテイキングは遊べるのではないでしょうか。
次回(たぶんそれで終わり)は「トリックテイキング用語集」のような形で
今まで出てきた用語も含めて、簡単な説明をしたいと思います。

<2014/11/5>


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