2018年のブルームーン日本選手権に出場してきました(前編)




 去る8月19日、「第5回ブルームーン・レジェンド日本選手権」に参加してきたので、簡単なレポートを書いておこうと思います。
 勝負の細かいところは忘れた部分も多いのですが、印象的なところだけでも面白く読んでいただければと思います。

 今年はホビージャパン・フェスティバルでの開催が見送られたのですが、「ブルームーン・レジェンド」訳者の正田謙(けがわ)さん主催&大井町の喫茶マーブルさん協賛で開催されました。
 参加者は10名。昨年が4名と少し寂しかったのですが、今年は大会らしい人数が集まって良かったなあと、一応同人誌を書いてる身としては嬉しく思いました。最近自分であまり何もできてないので恐縮ですが……。
 大会は終始和やかでした。私も久しぶりにプレイするので緊張してましたけど、主催の方々や参加者の皆さんによる雰囲気のおかげで、段々リラックスして楽しむ余裕が出てきました。自分がその雰囲気の助けになってたらいいなと思います。



 説明の様子です。

 ということで、これから各対戦の覚え書きです。
 大会はいつもどおり単一種族デッキ(基本デッキの出張組3枚を本来の種族に戻したもの)です。予選は異なる2種族がランダムに選ばれ、それを交換して2戦やります。2戦でそれぞれ取ったクリスタルの差分で勝敗・点数を決めます。勝ちは20+差分点、引き分けは15点、負けは10-差分点です。
 デッキを交換するので、強い種族のほうを持って単純に勝てばいいわけではなく、強いほうでは多く勝つ、弱いほうでは少なく負ける、という立ち回りの巧さが求められます。ポイントはやっぱり、前半戦に4点勝ちすること/4点負けしないことでしょうか。4点を取るとその試合は負けがなくなって楽に戦えますし、逆に4点取られると後半戦で4点取らないと負けてしまうプレッシャーが重くなるため、実力を十分発揮できないように思います。


予選第1試合 vs. 大塚さん

(カズマ)ホークス − ヴァルカ(大塚)★
 ※ ★は先攻です

【方針】
 言わずと知れた基本のマッチアップで、だいたい互角です。
 経験上はヴァルカのほうが紙一枚分有利なケースが多いのですが、実はそこまで一撃は強くありません。というのもヴァルカは数字の書かれたシンプルなブースター/サポートが少なくて、案外攻撃値の底上げがしづらいのです。強力な攻撃を持ってはいるものの、出すタイミングを間違えると簡単に「H18 不可解な鎧(炎の盾)」やミュータント、「H11 語り手ベセニターナ(もし私が撤退したら、あなたはドラゴンを引き寄せることはできない)」で凌がれます。

 一方ホークスは、サポートを計画的に運用しないといけないため、立ち回りは常に難しいです。サポート7枚あるとはいっても、7枚しかないんですよね。下手に戦力を展開するとすぐ使い切ってしまって後半戦が苦しくなりますから、多少は戦力を出し惜しみする必要があるんですが、キャラクターの攻撃値が低いのでそこに付け込まれるのも嫌だなあ、みたいな。我慢のデッキです。
 つまり私、ホークス苦手なんです。なのにですよ、初戦でホークス使うってきつくないですか? しかも私事で恐縮ですが(定型文)今年は育児でほとんどデッキ触ってないもんで、開始前から戦々恐々としてます。

【実戦】
 まあそうは言っても試合は一所懸命やるだけです。
 相手の大塚さんは今日がブルームーン初めてらしく色々質問されるのですが、質問のポイントが的確です。「ヴァルカって炎ですよね、ホークスって何が強いんですか?」うん俺も大地って言いたいんだけどね、ホークスも印象と違って大地弱くて代わりにサポートが強いのね、ここを認識するだけでホークスの使い方変わるから大事なポイントなんだよね、知ってる。後でうかがうとM:tG経験者ということで、納得しました。カードのプレイングも上手く、ちゃんとブースターやサポートをこちらが痛いタイミングで出してきます。
 相手がヴァルカですから、速攻でリードを奪われるのはとにかく怖い。なので焦ってしまって、序盤から多めに引いたサポートを潤沢に出していきました。中盤は「H29 閃き発動(この手番に、私はサポートカードを何枚でもプレイできる)」を使って、キャラクター(何か忘れた)→サポート4枚を一気に展開し、ドラゴン2匹を得ます。そのとき大塚さんが「これだけ頑張らせたら撤退していいでしょ」と。
 そうなんですよ、経験者なら分かると思いますが、私のこれは典型的にダメな着手です。これでサポートを7枚使い切ってしまっているので、後はヴァルカに押されるしかないんです。これをやるなら4匹目の引き寄せでサドンデス終了にしないと絶対ダメなのに、焦りがそんなことも忘れさせてました。結局その後キャラ単体にじわじわ押され、0-1で負けです。

 デッキ交換し、こちらがヴァルカを持っての後半戦。
 2-0以上で勝たないとダメなんですが、序盤に「V29 ドラゴン魅了」で1匹引き寄せは一応できました。しかし次に押し切ろうと「V27 恐怖の亡霊(ドラゴンを1匹追加で引き寄せる)」を出したのを見て、大塚さんも「負けられない戦いじゃないですか」とサポートの2枚目を展開します。うん、バレてるね、俺ダメだね今日。
 大地での攻撃だったので、一旦ミュータントで炎にひっくり返したところで、ホークスも場に6枚積みました。ここで「フレームブレス」+「稲妻の光」で、一気に炎10を決めます。これが決まれば勝ちですが、出したとき、失敗したかな、と思いました。
 「……10か。10はないっすね」
 大塚さんが撤退を宣言し、ドラゴン3匹を一気に引いて4-0で勝ち。なんとかなりました。

 勝つには勝ったんですが、最後の一手もかなり無謀な賭けでした。というのも、相手がサポートで炎4ぐらい積んでたので、「H20 賢者の書(3/3)」を引いていれば炎3のキャラと合わせて返されてたし、攻撃値7以上で攻めているのでミュータント「ヴァル・ディス・ナル(攻撃値7で元素反転)」でも返せたし、「不可解な鎧」でもいなされた。相手に返す手が最低3つあった状態で攻めてたので、非常に分の悪い攻撃でした。ミュータントだともう一回大地でやり合わないとダメなので、ほぼヴァルカに勝ちはありません。体感でいうと、成立する確率は3割ぐらいです。
 とはいえ、最序盤でホークスのキャラクターから炎4の2人が消えたのは覚えていたのと、相手のデッキ回転がかなり悪そうだったので、返せるカードをまだ引いてなくて攻撃が通る成算はあるな、という読みは一応立ててました。それでも大塚さんが的確にサポートを展開していたので全然負けてもおかしくない戦況で、実際ここで負けてたら2匹取られてそのまま五分五分になって0-2負けもあり得ました。勝てたのは運が良かったと思います。

【結果】
 H0-1V、V4-0H、合計4-1、勝ち(23点)。


予選第2試合 vs. 秋山さん

★(カズマ)フリット − ミミックス(秋山)

【方針】
 ミミックスって「ペア揃えば即叩く」のデッキなので方針など立てようもないのですが、サポート2枚、ブースター2枚(2/1と1/2)、フリーキャラ3枚のほうを数えておくことは重要です。去年秋山さんにフリーキャラ3枚の一気出しを食らって6枚撤退を強いられたのをよく覚えているので(笑)、今年は絶対あれはやらせません。
 あと秋山さんは何度か対戦したので雰囲気はなんとなく分かっていて、傾向としては「6枚揃えて大場を作って2匹引き寄せる」を好むほうで、細かく戦闘を切ってカードカウントするタイプではありません。なので、相手のペースに乗ると多分負ける、冷静さを保とうとはぼんやり思ってました。
 フリットはブースター11枚のペース配分が基本にしてすべてで、デッキ回転がよくないときにキャラをどう見切って捨てていくかがポイントです。強力なテキストを持ったキャラでも、タイミング的に使えなければバッサリ切る。なんかデイトレの損切りみたいな言い方ですが、実際キャラを惜しむと頓死するのでドライな運用は大切です。

【実戦】
 フリットを持って前半戦。引きはそこそこで、ブースターが前半やや強く固まりすぎた感はあって後半苦労しましたが、「F12 野心の鷹ハンク」でのキャラクター無視とブースターの攻撃値4を合わせて撤退をもぎ取るなど(フリーキャラを2枚使っているのでブースターorサポートと合わせても攻撃値4を出せないことを確認済み)、基本のコンボを基本に忠実に決めたことでどうにか2-0は取れました。
 で、後半ミミックスで勝ちたかったのですが、割といいほうのフリットを回され、カールで攻撃値10を出されたりさっきのキャラ無視を同じように決められたり。こちらはペアの揃いがいまいちで、キャラ単独でどうにか頑張ったのですが今一歩攻撃値が届きません。結局0-2で負けて、この勝負は引き分けとなりました。
 いや秋山さん知ってたけど強いわ、フリットやミミックスの戦い方をよくわかってる。お互い戦いの最中に雑談したりニヤニヤしながらカード出したりしてたので、自分も去年や一昨年よりはリラックスして打ててるのかな、と思いました。



 後半戦。この3/5ペア(女傑)や4/4ペア(女戦士)が、まあ揃わないこと。「M31 冥府の霊 召喚(捨て札から1枚選んで拾える)」が序盤に来てもしょうがないんですよほんとに。

【結果】
 F2-0M、M0-2F、合計2-2、引き分け(15点)。


予選第3試合 vs. けがわさん

(カズマ)テラ − キンド(けがわ)★

【方針】
 まさか翻訳者とここで当たるとは……つらい……。

 テラは何発かキンド殺しコンボがあるので、それをちゃんと出せたらそこそこ戦えます。相手のギャングを積ませると勝ち目はどんどん薄れてゆきますから、その前に流れを切ることを意識すべきです。特にファンで12以上、クールで6以上を出されるとほぼその一戦は負けますし、「K27 げらげらガス」のテキスト無効化もテラには刺さります。サポートの嵐を積んで攻撃値で戦えないことはないのですが、その前に特殊能力での牽制がどうしても必要なので、キンドはそこまでゆっくりした展開を許してくれません。6枚出しでの2匹勝ちはないと思うべきです。

 一方キンドは、出せるものはさっさと出して素早く回していかないと、テラに必中のコンボを決められたら優勢を作れません。とにかく見えたキャラを即展開して、相手の動きが悪い序盤のうちに勝ちを確実にしたいところです。テラに先攻を取らせ続ければ、キンドは元素の偏りがないので大地で攻められても苦にしません。
 大会はマリガンがあるのでギャングは1種類以外全交換して、できればトップ(カード捨てさせ系)かノー(特殊能力なし)のギャングを前半に寄せ、中盤以降にクールとファンを取っておけばうまく回ります。これは相手がテラのときに限らず、私の基本戦略です(もちろん最初の引きによって変えますよ!)。

【実戦】
 ところで前半戦ですが、とても良いテラを引いてしまいました。初手はこんな感じです。



 「T30 ドラゴン感銘」で1匹は確実です。いきなり大地8を捨てて撤退してもよかったのですが、初手でノーギャングが2人で攻撃値3と低く攻めてきたので、おそらく相手の手札が他の色と混ざってる、よしチャーンス! と思って普通に「T11 トラナ(3/3)」と「T27 底無流砂(あなたの手札が4枚以上なら、それ以上カードを手札に加えることはできない)」で足を止めました。これを見てけがわさんは即撤退です。キンドは手札の数を引けないと話にならないので、当然そうなります。

 で、play:gameのレポートによると、キンドの初手はこういう手札だったそうです。
 この手で2枚しか出さないというのは、おそらく6枚勝ちを狙うという着手意図があります。5枚一気出しで撤退を強いると、左端の「K31 跳ね返り」を活かせない恐れがあるため、これはアリだと思います。次の攻撃にサポートかノーギャングを引けば6枚出しが可能です。ただ初手で2枚しか出さないので引く確率が高くないというのが、キンドならではのジレンマです。
 ギャングを一気に使うか徐々に使うかは難しいところです。私の好みでは、4枚か5枚を必ず一気に展開して、炎6か大地6は出してしまいます。序盤ならミュータント「ラス・ムス・パン(炎5で元素反転)」で返される心配も少ないし、テラは単体の攻撃値が高いので、攻撃値3程度で様子を見ていては相手の6枚積みを許してしまい、「T29 地震誘発」で戦闘エリアを流される可能性も徐々に上がるからです。テラ相手なら大地7を出してミュータントの返しを封じるほうがより確実に勝てるかもしれません。
 一方、初手4〜5枚で攻撃値6〜7を出すと相手は9割方撤退しますから、ノーギャングの多さが十分活きないデメリットも当然あります。私の場合はそれを承知で《今》自分の手札を回すことのほうに重点を置きますが、ここは好みが分かれるところでしょう。

 まあそれは戦いの最中には知りようもないことで、その後もこちらは引きに恵まれました。5分ほど後の手札はこちらです。写真を撮ってるのは、だいぶ気持ちに余裕が出てきたんですね。



 場に出ているサポートは「T26 五里霧中(アイコン全無視)」で、要はキンドのギャングアイコンを封じてしまうのでこれも一発必中のカードで、もう相手は事実上撤退しかありません。テラは後攻を引き続けることで、こうして必殺のサポートやブースターを初手で決めることができるのが非常に強いです。
 さらにこの後嵐を2枚揃えることにも成功し、「地震誘発」での6枚除去も決まり、4-0で勝ちました。引きの勝利です。ものすごく運が良かったというか、カードゲームはたまにこういうことがあるんですね。

 後半戦はこちらがキンドを持ちます。当然立場が逆なので、けがわさんも同じことをしてくるわけです。「T14 バク・バット(相手はブースターをプレイするか撤退)」には当然やられますし(キンドにはブースターが1枚もありません)、「五里霧中」も同様に決められます。さすがというか、キンドの弱みをよく知っています。
 キンド側の戦略は「相手が4〜5枚になったら撤退する」です。テラはフリーアイコンやペアアイコン等の「1手番に3枚以上出す仕掛け」がないので、4枚までは余裕をもって様子を見ることが可能です。こちらの手札が弱いときも2手番だけ粘って手札を整え、相手に戦力を吐かせてから撤退する。ドラゴンのロスを1匹に抑え続けてさえいれば、勝ちがキンド-テラ-キンド-テラ-…、と交代しつづけるような展開を作れるので、これで大きく勝ち星を損なうことはありません。前半戦に4-0で勝っているので、0-4にさえしなければ勝てますから、安全着実に進めます。

 その方針を守って1戦を終え、0-1でテラの勝利。差分点では狙い通り勝ちを収めました。やった……翻訳者に……勝ったよ……!!

【結果】
 T4-0K、K0-1T、合計4-1、勝ち(23点)。




 おそらくこれまでの大会で一番苦労しましたが、どうにか決勝トーナメントに残れそうな点数にはなりました。後編に続きます




<2018/09/10>


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