iPhone/iPadでトランプゲームを遊ぼう




 先日書いたトリックテイキングのアプリ紹介が好評みたいなので、トリックテイキング以外のトランプゲームアプリも紹介してみます。
 前記事と同じく、選ぶ基準としては「一人でコンピュータ対戦できる」ことを重視しています。ルールは「ゲームファーム」「Pagat.com」を参照してみてください。
 大富豪やスピードとかのド定番はここには入れてません。多分いくらでも探せると思うので……。

 リストは気が向いたときに更新していきます。遊べなくなったアプリやリンク切れ等ありましたら、ツイッターで教えてくださるとありがたいです。

31

31 - The Card Game
LITE Games GmbH
Download on the App Store

 初めてプレイすると割と衝撃を受けるゲームです! 面白い割に知名度が高くないので、遊び方と一緒に紹介します。

【カードと配り方】
 数札の7~10と絵札の計32枚を使います。数札の点は額面通り、KQJは10点、Aは11点です。
 ディーラーは全員に3枚ずつ手札を配り、さらに3枚を中央に裏向きに置き、残りを裏向きの山札にします。各自ライフを3点持ちます(アプリではマッチ棒です)。ゲーム中の手札は常に3枚で、各ディールの終わりにこの合計点が一番低い人が負けてライフを1失います。最高点が31になるのがゲーム名の由来です。

【プレイ】
 最初にディーラーは、自分の手札のままで勝負するか、中央の3枚と全交換するかを(中央は裏向きのままで)選びます。どちらを行った後でも中央の3枚はすべて開き、以降は時計回りにプレイします。
 自分の番には「中央と1枚交換」「中央と全交換」「パス」「ノック」「手札が31点なら即勝負」の5つから選びます。ゲーム中は手札を交換しながら得点を上げていきます(後述)。5つ目はアプリでは自動的に行われますから、実質は4択です。

 全員が連続してパスしたら、場の3枚が捨てられて山札から3枚を補充します。
 ノックは自分の右隣まで回して勝負しようという宣言で、最初の1巡は行えず2巡目から行えます。実際に遊ぶときは机をコンコン叩くといいでしょう。
 ノックした人の右隣まで手番が回るか、誰かが手札を31点にしたら、全員が手札を開いて勝負します。

【得点】
  1)手札は原則として、1スートしか得点対象になりません。手札のスートの中で合計値がもっとも高い1スートが自分の点数です。
  2)例外として、同じランク(数字)を3枚集めたら「30.5点」になります。
 点数が一番低い人は、ライフ(マッチ棒)を1つ失います。同点最下位が複数いたら全員失います。初手で31点を決められたら、他の人は全員ライフを1点失います。
 アプリでは1人残るまで戦いますが、脱落者が寂しいので適当でいいと思います。

【感想】
 運ゲーではありますけど、ちょっとした駆け引きがとても面白く、私のおすすめです。ついつい何ゲームも繰り返したくなる魅力があります。クニツィアの『ゼロ』はおそらくこの『31』を元ネタにしていて、もちろんカード構成や失点システムなど細かいデベロップで全く違うゲームに仕上げているのですが、こちらのトランプゲームはその単純さ、ミニマルさが美点だと思います。
 無料なので多少広告が入るとはいえ、ディール終了時だけですから気になりません。

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スコパ

La Scopa - Classic Card Games
OutOfTheBit Ltd


 イタリアのゲームです。花札に似てますが、より覚えやすく気軽に遊べます。
 2~4用ですが2人で遊ぶことが多いです。ネットで検索したルールが人によって微妙に違うようなので、アプリの2人用ルール(多分これがオーソドックスかな)を紹介します。
 ゲームの目的は、たくさんカードを取って得点することです。あえて取らないプレイ技術もありますが、最初は取れるだけ取るほうがいいと思ってください。

【カードと配り方】
 数札の8、9、10を抜いた40枚を使います。このゲームではAが1、Jが8、Qが9、Kが10を表します(実際のトランプで遊ぶときは、数札でなく絵札を抜いてもいいかと思います)。カードに強弱はありません。
 ディーラーは2人に3枚ずつ配り、さらに場に4枚を表向きに配り、残りを裏向きの山札にします。

【プレイ】
 ディーラーが先攻です。
 自分の番では、手札から1枚出します。同ランクの場札があれば(場にJがあってJを出すなど)、出した札と場札のペアを取って手元に伏せます。これが最後に得点となります。
 ペア以外に、何枚かの場札の合計と同じカードを出すこともできます。例えば場にA(1)・2・5があってJ(8)を出すと、1+2+5=8なので、3枚と自分のJをまとめて取ることができます。手番には1枚しか出せないので、逆の出し方(1と2の2枚を出して場の3を取るなど)はできません。また、ペアと合計の両方が取れる場合は、ペアを優先しなければなりません。合計で複数の取り方ができるときは好きな取り方を選べます。
 場札を全部取ることをスコパ(Scopa)といい、ディール終了後に1点になります。実際のプレイでは、取ったカードを1枚表向きにして目印にしておきます。

 取れるカードがなければ、出したカードをそのまま場に置きます。ただし、カードが取れる場合は必ず取らなければなりません。

 両者が3枚ずつ出して手札が切れたら、3枚ずつ手札を補充します。6回目の補充で山札がなくなるので、全部の手札を使い切ったら1ディールは終わりです。場に残ったカードがあれば、最後に場のカードを取った人がもらえます。

【得点】
 1ディールで集めたカードをもとに、以下の5種類の点数を合計します。

 1) カルテ(Cards) … より多くカードを集めたほうに1点 ※
 2) デナリ(Coin Cards) … より多くダイヤを集めたほうに1点 ※
 3) セッテベロ(Settebello) … ダイヤの7を取ったら1点
 4) プリミエラ(Highest Prime) … プライム点(下記)の合計が高いほうに1点 ※
 5) スコパ(Scopas) … 場札を全部取るごとに1点
  ※は同点ならどちらも0点です

 プライム点はランクごとに決まっています。7(21点)、6(18点)、A(16点)、5(15点)、4(14点)、3(13点)、2(12点)、絵札(10点)です。集めたカードの各スートで一番プライム点が高いカードを抜き出し、その合計を比べます。実際に遊ぶときは、7が多いほうに1点、同じなら6が多いほうに1点……とすると簡単でいいでしょう。
 ディーラーを交代して何回か遊び、どちらかの合計が11点に達したら点数の高いほうが勝ちです。同点になった場合、1)から順にカウントして先に11点に達したほうが勝ちです。アプリでは「設定」→「Change Rules」→「Final Score」で勝ち点上限を変えられます。

【感想】
 個人的に大好きなゲームなので、ぜひ最初に紹介したいと思ってました。
 「出して取る」だけだからゲーム自体が簡単ですし、セッテベロ取ったりスコパしたりするのが感覚的に気持ちいいし、山札からの引きが結構強いので気楽に遊べるし、すごくいいゲームだと思います。でもやっていくうちに、案外プレイ技術があることに気づいたりします。上級にすると不思議なほど勝てません。
 アプリはサクサク動いて分かりやすいし、そこそこ強いのもgood pointです。カルテとかプリミエラを勝手に計算してくれて面倒がないのがいいんですよね。ゲームに慣れたら点数もなんとなく覚えますし、遊んでみて面白かったらぜひ対人戦もやってみてください。
 ちなみに設定ではオプションルールも付けられるようで、ゲームファームを見るとなんとなく内容の見当がつけられます。広告がありますが、メニューから240円で解除できます(2018年9月時点)。

【おまけ: スコポーネ(4人版別ルール)】
 4人集まったら、スコポーネというゲームで遊んでも楽しいです。ほぼ同じルールですが次の点が変わります。
  ・向かい合った2人がチームになり、2対2で争います。
  ・手札は1人9枚、場札は4枚で40枚を配りきります。
  ・ディーラーの右隣から反時計回りでプレイします。
  ・取ったカードはチームで一緒にしてから点数を計算します。
 配りきりなので一気に考えどころが増えます。ペアの意思疎通も問われるようになって、これはこれでとても深みがありますよ。場札ゼロの手札10枚にするとさらにガチガチの思考ゲームになりますが、お好みで。

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ジンラミー

 2人用ゲームの定番です。
 ラミーという、麻雀に似た系統のゲームの一種です。その中ではもっともルールが少なく気軽に遊べると思います。手前味噌ですが、昔書いた紹介記事があるので、よかったらルールの参考にご覧ください。
 一応ざっくり説明しますね。

  ・手札10枚で合計値(deadwood)を相手より少なくする。Aは常に1、絵札は10。3枚以上のメルド(同ランクのグループ、または同スートのラン)を揃えると値が0になる。
  ・ゲーム開始時、ノンディーラーから捨て札を拾うかパスするか選ぶ。両者パスしたらノンディーラーが山札を取る。
  ・手番では山札か捨て札の上から1枚取り、1枚捨て札する。取った捨て札は直後には捨てられない。
  ・合計10以下なら捨て札と同時にノックできる。互いの手札とメルドを公開する。ノックされた方だけ、相手のメルドにつながる札を付け札(レイオフ)できる。レイオフ後の合計値を比べ、少なければ勝ち。合計値の差が得点になる。
  ・ノックして負けることをアンダーカットといい、相手に25点つく。合計値が同値でも負け。
  ・手札が0点になったらジンを宣言できる。ノックと違い相手がレイオフできず必ず勝てて、ボーナスが25点つく。

 アメリカでは有名なゲームなのでアプリは沢山あるんですが、遊びやすいアプリが案外少ないです。試してみて良かったのを2つ紹介しておきます(個人的なおすすめは2です)。

1) Gin Rummy Best Card Game
FMGOne

 手札が触りやすくて動作もスムーズ、メルドも見やすいです。画面が縦のまま遊べるのもポイント高い。全体の作りがとても良くできています。広告がほぼ毎ディール表示されて長いのと、広告解除が600円と少々高いのが欠点といえば欠点ですかね。

2) Classic Gin Rummy
Kevin Ainley-Walker

 手札の操作性では1)に少し負けるんですが、全体の動作は同じくスムーズです。縦画面で遊べるし、なにより広告が出ない! ルールがクラシックとオクラホマの2種類を選べたり、敵のレベルも選べたりするのは1)にない長所です。
 スキンがデジタルっぽいのは好みが分かれそうですが、1)に見劣りせず遊びやすいアプリです。スコアモードが初期設定だと「simple」になっていますが、設定画面で「classic」にするのをおすすめします。

 結構探すのに苦労したので、外したアプリと理由も書いておきます。ここに挙げた以外にも沢山あるんですけど、オンライン専用だったりするので割愛しました。

 Gin Rummy / Eryod Soft
 操作性が非常に悪いです。カードが小さくて触りづらいし、画面横向きだし、ノックの度にメルドを自分で作らないといけないのが面倒極まります。

 Gin Rummy+ / Anusha s t
 全体の操作性はいくらかマシなんですけど、アニメーションがもたつくし、手札の自動並び替えが見にくい! 山札をタップしてもカードが拾えないし、画面はやっぱり横向きだし、あとメルド判定にバグがあるっぽいんですよね……。

 ジンラミー。 by ConectaGames / Web2mil.com
 Facebook接続必須で、Twitterしかやってない私には壁が高すぎました。

 Gin Rummy - Classic Card Games / PressOK Entertainment
 何年も遊んでたアプリで、操作性も見た目もスピード感もパーフェクトだったんですけど、iOS11の64ビット対応がされないため動作しなくなり、やむなく削除しました。とても悲しい……。まだ古いOSを載せていれば、おすすめです。

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ヤニブ

Yaniv
Barak Edry


 イスラエルの比較的新しいゲームです。自分の手札を7点以下に減らしての早抜けを目指します。
 やることは「捨てて引く」だけで、手札から捨てたい《1枚/同ランク複数枚/3枚以上のラン》をタップし、捨て札か山札を拾います。これを繰り返して手札の点を減らすだけの簡単ルールですが、ちょっとハラハラする要素もあったりします。3~4人が楽しく、私も一昨年(2016年)帰省したとき、家族3人で延々これを遊んでました。

 ラミー系と似たルールですが、ラミー系と違って先に捨ててから引くので、思うようにならないところが独特のスリルを演出してくれます。
 アプリは無料ですが、人数は3人・点数は200点マッチ・ヤニブ宣言のリミットは7点固定など、「杜の家アーカイブ」のルールと微妙に違っています。トランプで遊ぶときは好きな設定を選ぶといいでしょう。480円の課金(2018年9月時点)でパラメータが変更できるようになり、無制限のオンラインプレイも可能になります。
 操作性はとても快適で、無課金でも十分楽しめるので、オススメです。

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スパイト・アンド・マリス

Spite & Malice - Classic Game
WildCard Classics Inc


 2人ゲームです。2人用ソリティア、なんて言われます。最近私これ気に入っててよくアプリで遊んでます。
 といっても相手との絡みがないわけではなく、ルールがちょっとソリティアっぽいんですね。相手の邪魔をしながら自分の山札をうまく出していくんですが、確かにやってみるとクロンダイク(いわゆるWindowsのソリティア)みたいな雰囲気が共通していて、しかも相手と牽制しあうジリジリしたプレイ感もあり、面白いゲームです。運要素は強めですが、その分とっつきやすいと思います。

 ルールをごく簡単にいうと、

  ・2人が各々の個人山札20枚を持っていて、これを先に0枚にした方が勝ち。
  ・手番では個人山札・手札・個人捨て札から好きなだけ共通場に出せる。最後に個人捨て札に捨てて手番を終える。
  ・場にはAから昇順に出さなくてはならず、Qまで出したらその共通場は流れる。
  ・スートはゲームに関係ない。Kはワイルドカード。
  ・手札は手番の最初と、手番中に手札が切れたときに共通山札から5枚まで補充する。

 これだけです。言葉で書くと複雑ですが遊ぶとかなりシンプルです。こちらのサイトが非常にわかりやすいので参考にしてください。
  スパイト・アンド・魔理沙 - 六月の玉子産廃投棄場・はてな分室

 実際にトランプで遊ぶときは、ゆうりさんの「練馬おやこボードゲームの会」のサイトも詳細で参考になります。
  スパイトアンドマリス - 練馬おやこボードゲームの会

 同じデベロッパから緑・茶・青の3種類のアプリが出てて、私はたまたま青を割引セール中に買いましたが、緑が無料なのでここではそちらを紹介しています。違いはよく分かりません、値段と広告ですかね。
 CPUはそこまで強くないんですけど、ほら、こういうのって負けてくれるほうが楽しかったりするじゃないですか、ねえ。

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鋤大D(チューダーディ、Big 2)

Big Deuce - Big 2 Classic
38 Softworks Inc.


 中国版大富豪には有名なものが2種類あるんですが、その1つです。
 イメージは日本の大富豪とだいたい同じですが、勝敗で富豪/貧民などのランクをつけるのではなく、1人があがった時点でディールが終わり、残った手札を罰点にします。ほぼ4人専用と考えてもらってよく、このアプリも4人戦です。
 ルールは日本の大富豪よりも単純で遊びやすいと思います。カードが多いので組合せをどこからどう出すか悩んだり、出せそうで出せなかったりするのが楽しく、特に5枚出しが決まると気持ちよくてハマります。大富豪系は中毒性が高いですね。

 以下、日本の大富豪は知っている前提でルールを説明します。
 ジョーカーを除く52枚デッキを13枚ずつ配りきります。順番に前と同じ出し方で出す、出せなければパス、一度パスしても場が流れるまでは復帰可能(ソフトパス)、自分以外全員パスしたら場を流して次の打ち出しを取れる、という点は同じです。カードの強さも同様に2が最強・3が最弱です。

 出し方は1枚、2枚、3枚、5枚の4種類。2枚と3枚は同ランクのセットです。スートに強さがあり、強い方から順に、スペード > ハート > クラブ > ダイヤ です。ブリッジオーダーと違うので注意してください。なので同ランクでもスートで勝っていれば出せます。出すときのスート縛りはありません。
 面白いのが5枚出しで、ポーカーの役を作って出します。強い方から順に、ストレートフラッシュ > フォーカード(+なんでも1枚)> フルハウス > フラッシュ > ストレート です。強さはストレートとフラッシュはトップカードで、フォーカードとフルハウスは多いカードで、それぞれ比べます。ストレートはAが両端と繋がりますがK-A-2が認められないため、強い方からA-2-3-4-5、2-3-4-5-6、10-J-Q-K-A、…となります。ここだけが例外的ですので丸覚えしてもよいでしょう。

 罰点は残り手札1枚につき1点ですが、10枚以上だと2点、13枚全部だと3点になります。
 だから9枚は9点だけど、10枚で一気に20点に跳ね上がるんですね。1ディールだけでは運要素が大きいですが、勝ちをいかに大きく、負けをいかに少なくするかがポイントになりそうです。
 手札の中央にある数字は、上が手札枚数、下が罰点の合計です。1ディール終わったときのメニューで「Next Round」を選ぶと続きができて、「New Game」でスコアをリセットして最初から遊べます。特に終わりは決まってませんから、自分が勝ってるところでやめるのが一番ですね!

 アプリは無料で、プレイ画面の下に広告が出るタイプです。機能制限はありません。右上の設定メニューに広告解除で360円(2018年10月現在)の課金があるので、ハマった方はお礼の意味で払うといいのではないでしょうか。オススメです!

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<2018/09/09> 執筆
<2022/03/04> 最終更新


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