iPhone/iPadでトリックテイキングを遊ぼう




 トランプのトリックテイキングをiPhoneでよく遊ぶのですが、ネット上に紹介が少なく、せっかくなのでメモ代わりにいくつか書いておきます。

 あくまで私がやったことあるものを紹介するだけで、複数比較しておすすめしているわけではありませんので、あしからず。全然上手くなくて練習用に遊んでいるので、選ぶ基準としては「一人でコンピュータ対戦できる」ことを重視しています。
 ルール紹介は都度記事を紹介していますが、大半のルールは「ゲームファーム」「Pagat.com」でも紹介されていますので、そちらも参照してみてください。
 リストは気が向いたときに更新していきます。遊べなくなったアプリやリンク切れ等ありましたら、ツイッターで教えてくださるとありがたいです。

コントラクトブリッジ

Bridge Card Game Classic
Linda Mottley


 世界一有名なトリックテイキングです。単にブリッジとも言いますね。技術は相当に奥が深いそうですが、ルール「だけ」は、そんなに難しくはありません。
 ルールは検索すればいっぱい出てきますが、JCBL(日本コントラクトブリッジ連盟)のサイトを紹介しておきます。
 JAPAN CONTRACT BRIDGE LEAGUE / HOME

 有名なゲームだけあって、App Storeで検索するとオンライン対戦用とか、プレイ回数に応じて課金が必要なものとかはいっぱい出てくるのですが、私みたいに初級者が一人で気楽に練習できるアプリを探すのが、案外大変だったりします。
 こちらは一人プレイ専用で、難易度をEASYにすれば初級者でも十分楽しめます。操作性はそこそこですが、ルールを覚えて試しにプレイするにはもってこいでしょう。

 以下のサイトが、多数のブリッジアプリ(Android/iOSの両方)を紹介してくれていますので、さらに探したい方は参考にしてください。「Robot Solitaire Bridge」からソロプレイ用が見られます。
 Contract Bridge Apps - Great Bridge Links

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ハーツ

Hearts+
A Star Software LLC


 こちらは「トリックテイキング入門」の代名詞のようなゲームです。Windowsにも昔から入ってますから(最近はデフォルトではなくなりましたが無料で入手できます)、名前は聞いたことある方も多いですよね。ルールはこちらが分かりやすいです。
 ハーツの遊び方:ボードゲーム入門にトランプのハーツがおすすめ - 廿TT
 アプリの操作性はわりと良いと思います。

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ユーカー

Euchre Gold
Rene Vinding


 ペア戦の入門にもってこいです。各スートA~9の計24枚、手札は5枚しか使いません。ルールも比較的簡単で、考えどころが見やすいゲームです。
 こちらの記事がプレイ手順を追いやすく、よくまとまっています。高校で毎日これ遊ぶって楽しそうですよね……。
 マイブームのユーカー。 - Schwarz97のアメリカ生活ドタバタ日記♪

 このアプリのデベロッパは、ほかにも無料のトリックテイキングをいくつか出しています。CPUの自動処理がやや分かりづらいですが、慣れれば気になりません。遊びやすいです。

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オーヘル

Oh Hell Gold
Rene Vinding


 上記のユーカーと同じデベロッパから、もうひとつ。
 オーバートリックできない、いわゆる「ぴったり当てる系(exact-bidding)」のビッドを全員がするタイプで、『ウィザード』や『スカルキング』等の元になったゲームです。後発作品のような必勝/必敗のカードがないぶん、より堅実なプレイを求められますが、面白さのコアは変わりません。「ディーラーは全員のビッドが通るようなビッドができない」というルールも地味に効いています。

 標準的なルールはこちらの記事が分かりやすいです。
 トランプゲーム「オーヘル」 - 会津の旅人宿 地域との交流・旅人との交流が盛んな【会津野】宿主ブログ
 つまり会津若松に旅行のときは、ここに泊まればオーヘルが遊べる(かもしれない)わけですね! 素晴らしい!

 注意点として、20世紀初頭のゲームだけあってルールバリエーションがいろいろあります。たとえば手札枚数ですが、このアプリの場合は上記ルールと違って、デフォルトだと手札が10枚~1枚~10枚と変化します。
 手札枚数やほかの設定は、設定画面から変えられます。トップ画面から「START」→「CUSTOMIZE RULES」→「ADVANCED」と進むと、「ROUNDS」の項目でディールの進め方を変更できます。ほかにもジョーカーの有無やゲームの終了条件などの項目がありますので、慣れたものを選ぶとよいでしょう。

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エカルテ

Ecarte
Warwick Barnes


 2人で遊べるトリックテイキングです。2人ゲームって少ないのですが(有名なものとしてはシュナプセンとピノクルがありますが、両方ともちょっと難しい)、これは10分程度で簡単に遊べて面白いので、アプリでぜひ試してみてほしいと思い紹介します。
 一言でいうと「交換で手札を整えて、5戦3勝を目指す」というゲームです。

 アプリに即して、ルールをざっと説明します。
 カードは強い順に《K > Q > J > A > 10 > 9 > 8 > 7》の4スート32枚で、AがJの下なのが独特です。ディーラーは5枚ずつ配り、山札のトップをめくって切札表示にします。トップがKならディーラーに1点入ります。
 ゲームは「1) 交換」→「2) プレイ」→「3) 得点」と進行します。

【交換】
 ノンディーラーが「I PLAY(プレイ開始)」または「I PROPOSE(交換の提案)」を選びます。「I PROPOSE」を選ぶときはカードを先にタップで選んで、何枚交換したいかを相手に提示します。交換が提案されたら、ディーラーは「I REFUSE(断ります)」または「I ACCEPT(交換しましょう)」を選びます。ディーラーも「I ACCEPT」では交換するカードを選びますが、提案されたカードと違う枚数でもかまいません。
 交換が成立したら、先にノンディーラーが裏向きに捨てて山札から引き、ディーラーも同様にします。これを繰り返し、どちらかが「I PLAY」か「I REFUSE」を選ぶか、交換する山札がなくなったら、プレイ開始です。

【プレイ】
 切札のKを持っていれば、プレイ前に宣言すると1点入ります。ノンディーラーが最初にリードします。マストフォロー(リードスートがあれば出す)、マストウィン(勝てるカードがあれば勝つ)、マストラフ(リードスートがなくて切札があれば出す)で、5トリックをプレイします。3トリック以上取った方の勝ちです。

【得点】
 勝った方に1点、全トリック取れば1点でなく2点入ります。
 ただし、一度も交換なしでプレイしたとき、ノンディーラーが(自信を持って)「I PLAY」したのに負けたらディーラーに1点でなく2点、ディーラーが(勝てると思って)「I REFUSE」したのに負けたらノンディーラーに1点でなく2点入ります。
 ディーラーはディールごとに交代します。どちらかが5点に達したらゲーム終了で、途中で山札トップやKの宣言で5点になってもそこで終了です。

【感想】
 見た目よりは考えて遊べます。2トリック負けてもいいのがミソで、前半でうまく負けて後半に勝つとか、弱い手札でも前半に頑張って1トリック取って失点を抑えるとか、ちょっとした戦術を工夫できるところが面白く、覚えて損はないゲームです。
 実際のカードで遊ぶときは、枚数を提示しないで提案するルールもあります。交換時のコールは「プレイ」「プロポーズ」「はい」「いいえ」等でいいかと思います。

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ピノクル

Pinochle
fishdog.net
Download on the App Store

 4人ペア戦です。各スートのA~9の24枚を2組、計48枚で遊ぶのが独特です。手札は12枚を配りきります。
 パートナーと協力してビッドし、手役を作った得点を勘定してからプレイします。

 (1) ビッドはペアで取れる合計点を競ります。トリックの合計点は25点しかありませんが、手役の点数が10点、20点と伸びることもあり、ここの見極めが面白さの一番のポイントです。
 (2) 勝ったビッダーは切札を宣言し、パートナーはそれを聞いてビッダーにカードを4枚渡し、受け取ったビッダーは16枚から4枚を返します。
 (3) ビッダーから順に手役を見せて宣言します。本来は(手札を見せることを避けて)わざと見せなくてもよいのですが、アプリでは必須になっています。詳しい役一覧はゲームファームのルールを参照ください。
 (4) 普通のトリックテイキングをプレイします。ただし、リードスートがないときは必ず切札を出します。点数カードは各スートのA、10、Kです。ラストトリックを取ると1点になり、トリックのプレイは計25点です。

 アプリだと手役は自動で計算してくれるので、わからないなりにやっていれば覚えます。実際にトランプで遊ぶときも手役表だけあれば十分足りるでしょう。やってみると意外に簡単で、面白いゲームです。

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ゲッタウェイ

Card Game Bhabhi Get Away
Sukhbir Kaur


 インド/パキスタンのパンジャブ地方のゲームで、ルールが珍しいので紹介します。何が珍しいって「トリックテイキングなのに、手札を先になくしたら勝ち」なんです。3~8人で遊べて、上のアプリは4人専用です。おそらく4~5人ベストだと思います。そんなに難しくはありません。
 日本語のルール紹介がないので、以下に記載します。ルールはpagat.comの以下記事に基づきます。
 Rules of Card Games: Getaway

 カードはジョーカーなしの52枚で、ランクは強い順に A K Q J 10 9 8 7 6 5 4 3 2 です。
 ディーラーは52枚を配りきります。人数によっては1枚手札が多い人が出ます。配りとプレイは時計回りです。
 目的は、先に自分の手札をなくすことです。最後まで手札が残っていた1人が負けとなります。

【プレイ】
 最初のトリックは「スペードのA」を持っている人が打ち出します。普通のマストフォロー、ノートランプです。リードスートのランクが最も高いカード(ハイカード)が勝ち、2トリック目以降は前トリックの勝者から打ち出します。ですので2トリック目は必ず1トリック目と同じ人が打ち出します。
 全員がリードスートをフォローしたら、トリックで出された全てのカードは捨て札の山に裏向きに置きます。しかし、誰かがフォローできず別スートを捨てた(ディスカードした)ら、その1枚でトリックが終わります。後の人はプレイできません。このとき、リードスートのハイカードを出した人(トリックの勝者)は、トリックで出された全てのカードを手札に引き取らなければなりません。
 1トリック目だけは例外で、誰かがディスカードしても全員プレイし、全カードを捨て山に置きます。

 ※ディスカードした札は「トゥッラ/トッラ」(Thulla/Thola: ヒンディー語のスラングで「警察」)と呼ばれます。

【ゲッタウェイ(抜ける)】
 トリックの終了時に自分の手札がなくなったら、ゲームから抜けて勝ちとなります。
 ただし、そのトリックで自分が勝っていたら、次のトリックをリードしなければならないため抜けられません。その場合手札がないので、直前のトリックのカードを捨て山に置く前に捨て山をシャッフルし、そこから1枚ランダムに引きます。それからトリックのカードを捨て、今引いた1枚をプレイします。

【人の手札を取る】
 どのトリックの前にでも、宣言して左隣の人の手札を全部貰うことができます。左隣の人は当然勝ち抜けとなります。アプリでは、リードプレイヤーが左隣/右隣どちらかの手札を貰えるようになっています。
 パッと見ではこれをする理由がわかりませんが、pagatの記述では「左隣が自分の持っているスートを切らしているか、低いカードがほしいときには最善手であることが多い」そうです。

【感想】
 雰囲気としてはハーツみたいな感じです。ルールを読んだだけではこれでゲームになるのかと思いますが、案外遊べます。
 プレイしてみるとわかりますが、終盤で2人だけ残った状態では手の出し方がほぼ固定的で、デュラックみたいな打ち回しになります。そうなる前に序盤~中盤でどう手札を整えるかが勝負で、カードカウントが多少必要です。といっても思考性はそこまで高くありません。どちらかというと相手のボイドスートを読む一発当ての側面が強く、ローカルゲームの雰囲気が色濃くあります。慣れてきたら相応の戦略があるのかもしれないけど……。
 馴染みのないルールに触れること自体がムズムズして面白いので、興味ある方はやってみて損はないと思います。私も嫌いじゃないです。点数がないしゲームの勘所が見やすいので、ノンゲーマーの人がむしろ好きかもしれないですね。

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ゴニンカン

ゴニンカン
E.K.CORPORATION CO.,LTD


 ちょっと珍しい、日本のトリックテイキングです。青森で遊ばれており、世界選手権も年に一度開催されているそうです。名前のとおり5人専用。せっかくですから、世界選手権のページをご紹介します。
 ゴニンカントランプ世界選手権大会(青森県五所川原市)
 そういえば一度旅行で五所川原に行ったんですけど、トリックテイキングの気配ひとつなかったですね、おかしいな……まあそれはいいとして。

 アプリはサクサク動いてくれます。これで腕を磨けば世界選手権も優勝間違いなしじゃないでしょうか。知らんけど。

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スカート

Skat LITE
Isar Interactive GmbH & Co. KG


 ブリッジが世界一なら、こちらが第二位でしょうか。ドイツのゲームです。3人専用でカードも32枚と少なく、スピーディに遊べます。時間が空いたとき、コーヒーでも飲みつつだらだら打つのがたいへんいい感じです。
 ルールが難しいので初心者向きではないですが、覚える価値はあります。以前私も紹介記事を書きましたので、よかったら参考にしてください(長いですけど……)。

 アプリの完成度は高いです。紹介しているのは無料版で広告が入るのですが、同じデベロッパから有料版も出ています。無料版でもプレイ回数に制限などはなく、ゲームを遊ぶこと自体に遜色はありません。
 プレイの練習モードも(ドイツ語のみですが)あるようです。あとは好きな写真をコンピュータに設定できる機能が面白く、私は中田翔と山口俊の私服写真をセットして遊んでます。
 (※2022/3/4追記:結局2人とも暴力沙汰で名前が残っちゃった……)

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ドッペルコップ

Doppelkopf LITE
Isar Interactive GmbH & Co. KG


 こちらは4人専用で、やはりドイツのゲームです。ペア戦なんですがそのペアが都度変わるのと、途中までペアが誰かわからないのが特徴です。これも簡単ではありませんが、慣れるととても面白いです。
 ルールは、下記ゴクラクテンさんのサイトがよくまとまっています。
 ドッペルコップ入門 第1回 トリックテイキングの基本 | ゴクラキズム

 上記のスカートと同じデベロッパのアプリで、同様に遊びやすいです。ちなみにこちらの写真は豪栄道と鶴竜と……まあこの話はいいか……。

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<2018/08/07> 執筆
<2022/02/23> 最終更新


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