No.21 スカート / Skat

究極の3人戦トランプ。

作者Trad.
伝統ゲーム
人数3人
プレイ回数・人数15回/3人(アプリ含む)
時間30-120分(ディール数による)
種別トランプゲーム
ポイント【中級者以上向け】
ゲーム難度(5段階)5
評価(10点満点)10



毎度お運びくださいまして、ありがとうございます。
本日は、世界で2番めに面白いトリックテイキングだと私が勝手に思っております「スカート」をご紹介いたします。
ちなみに1番はコントラクトブリッジで、いや私そっちは2回ぐらいしかやったことないんですが、知名度や競技人口でいうとやはりブリッジが多いので、まあスカートが2番めになるのかな、という。

3人専用ゲームで、19世紀にドイツ東部のアルテンブルクという町(ライプツィヒの南)で生まれ、19世紀後半には現在のゲームに近い形で成立したそうです。ドイツ系の他のトリックテイキングと共通する部分も多く、これひとつ覚えれば応用も利きます。
とっつきが悪いイメージあるかと思いますが、一度覚えてしまえば盛り上がるし進行も速いですから、ぜひこの機会に覚えていただければと思っております、はい。年末にゲーム好きが3人集まったときなんかに遊んでいただければ何よりです。


内容は、ただのルール説明です。
話の軸は、ルールを簡潔に並べることよりも、「それのどこが面白いのか」についての注釈に対して置いています。必然的に文章は簡潔とはいきませんが、よろしければお付き合いください。
構成は、ゲームの流れをまず説明し、それから「ゲーム宣言」「ビッド」「考えどころ」の3点について魅力を詳しく探っていく、という形です。キーワードは「手札運だけが勝負にあらず」「その点を無理して狙え」「ビッドは自由」です。

PDFで簡単なリファレンスも作ってますので、よかったら見ながらどうぞ。
それでは説明にまいります。

ゲームの流れと目的

トランプゲームです。普通の52枚ではなく、各スートの2から6を抜いた32枚を使います。
ドイツにはこれ専用のデッキが売られてたりします。


流れを簡単に言いますと、

 (1) まず10枚ずつ配って、2枚中央に伏せます。

 (2) で、3人のうち誰がその回(ディール)に勝負するのかを、ビッドして決めます。ビッドとは競りのことで、私は何点取って勝ちます、いや僕はもっと高く何点取るよ、こういう宣言をお互いにしあうことですね。スカートのビッドは、取りたい点数(数字)を言いあいます

 (3) ビッドに勝った人をソロイストといって、ソロイストは伏せた2枚を手札に入れて、合計12枚から不要な2枚を戻すことができます(ちなみにこの中央の2枚をスカートと呼びます)。ビッドに勝ったぶんちょっと手札を整えられるわけです。それからソロイストは、このゲームの種類(切札は何か、トリックを取る勝負か取らない勝負か)を決めます。

 (4) 決めた勝負のルールで、普通のマストフォローのトリックテイキングをプレイします。

 (5) ソロイストは宣言したビッドを達成できたら得点、できなかったら失点です。他の2人に得失点はありませんが、2人で協力してソロイストが失点するように邪魔をします。常に1対2の勝負で、短いながらもなかなか燃えますよ。


「配る」→「ビッド」→「ゲームの種類決め」→「プレイ」→「得点」。これを繰り返すだけなので、流れは単純です。つってもトリックテイキングって大半そうで、この単純さがこのジャンルの身上ですね。
本式のプレイではこれを36ディール(!)やるわけですが、最初は別に12ディールぐらいでもいいと思います。

ビッドをもとにプレイするので、目的は当然、ビッドを満たすようなプレイをしてたくさん点数をとることです。


話はわかった、じゃあ何が面白いの? ということで、ポイントごとに細かいルールを見ていきましょう。カード配りとプレイは上の説明でだいたい済んでいるので、あとは「ゲームの種類」「ビッド」が分かれば遊べます。最後に流れをおさらいします。
ほんと、そんなルール難しくないですから、くれぐれも右側のスクロールバーの長さとか見ないでくださいね!

ポイント(1) ゲームの種類 〜 手札運だけが勝負にあらず

■ゲームは3種類

プレイ前にソロイストが宣言するゲームには、大きく3種類あります。スートゲーム、グランド、ヌルです。
最後のヌルが一番簡単で、宣言したソロイストが1トリックも取らなければ勝ちです。弱い手札のときはこれを言えばいいわけですね。

スートゲームとグランドはその逆で、できるだけ多くトリックを取ってカードを集めることを目指します。具体的に言うと、スカートでは各カードに所定のカード点があって、Aは11点、10は10点、KQJは順に4点、3点、2点です。987にカード点はありません。計算すると4スートで合計120点になるんですけど、過半数の61点を取らないと勝負に勝てません。スートゲームもグランドも、まずは必ずこのカード点61を目指します。
で、スートゲームというのは4スートのどれかを切札に決めるゲームです。ですので実際の宣言は「スートゲーム」とは言わず「クラブ」「スペード」などと言います。グランドは4枚のJだけを5スート目の切札に決めるゲームです(いわゆるノートランプと似てます)。手札を見て、どのスートならカード点61が取れるかを考えて決めればいいです。

だから、手札が弱かろうが強かろうが、ソロイストになっちゃえば手札に合う勝負を自分で決められるわけです。ここが1つ面白いところで、同じゲームの中に普通のプレイとミゼールが同居してるんです。配り運で即強い弱いが決まるわけではないのですね。


さらに勝ったときの点数を増やしたければ、追加宣言というのをゲーム宣言と一緒にできます。
1つ宣言をつけるごとに、勝利点が2倍、3倍、4倍…と増えていきます。

ハンド中央の2枚(スカート)を交換に使わず、最初の10枚でプレイする。一度スカートを見ちゃったら当然アウトです。
シュナイダー宣言カード点を90以上取る。
シュヴァルツ宣言全トリック取る。カード点を120全部取れても、カード点のないトリックを1つでも落としたら失敗です。
ウヴェア(オープン)手札を公開してプレイする。

細かい規則はあとでビッドと一緒に説明します。

■カードの強さも変わる

そうそう、カードの強さを言ってませんでした。
スカートでは、ゲームの種類によってカードの強弱が変わります。ヌルのときは普通のトランプと同じで強い順に、A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7です。切札はありません。
しかしスートゲームとグランドでは強い順に、A, 10, K, Q, 9, 8, 7です。カード点の高い10がAの次に昇格してるところがポイントです。

あれ、Jはどこ行ったの? と思いますよね。実はJは、切札の最強ランクに昇格します。つまり切札スートの強さは、クラブJ, スペードJ, ハートJ, ダイヤJ, A, 10, K, Q, 9, 8, 7、となります。
切札が何に決まろうが、Jはそのスートに属します。たとえばクラブが切札で、手札にクラブがハートJしかなければ、それでフォローしなくてはなりません。
グランドの場合はJの4枚が、上の順の強さで5種類目の独立した切札スートになります。

面倒くさい? 最初はね、でも案外すぐ慣れます。そして慣れてくると、10やJの強さがふらふら動くことが、微妙な勝負の綾を演出してくれるのが感じられてきます。手札の価値が可変というのは、いかにも伝統ゲームらしくていいですね。


いろいろ言いましたが、ルール上の要点は
「ゲーム宣言にはスートゲーム、グランド、ヌルの3種類がある。ヌルは0トリック、スートゲームとグランドはカード点61を目指す。ランクの強さは宣言によって変わる」
これだけです。競り勝った人がこれを自分で決めるってだけです。いけそうでしょ?

ポイント(2) 達成すべき目的は2つ 〜 その点を無理して狙え

ということで、いよいよゲームの肝であるビッドの話をしますね。

■2つの点数

まず大事なことを言います。スカートでは、「カード点」「ゲーム点」という2種類の点数があります
カード点は上で、4スート120点とか、Aは11点とか、61点目指すとか言ってるやつのことです。これはトリックで取ったカードの分が点数になり、スートゲームとグランドの成功判定にのみ使用します。
いっぽうゲーム点とは「そのゲームに勝ったときに得られる点数」のことで、ビッドで宣言したり勝敗を決めたりするのはこちらです。これはカード点とは一切関係ありません。
そして上で、カード点61を取らないと失敗と書きましたが、実はそれだけではソロイストは成功できず「ビッドで宣言したゲーム点」も取らないと失敗になります。

言いかえると、ソロイストの目的は2つあって、「カード点61を集める」「ビッドしたゲーム点を達成する」両方ができて初めてプレイ成功になります。このハードルの高さ、燃えませんか? 私は燃えますが、あなたはどうでしょう?


■ゲーム点 = 基本点 × 達成点

ではゲーム点はどうやって決まるのか? これもゲームの種類によって異なります。

まずヌルは簡単で、成功したら23点固定です。追加宣言を入れるとヌル・ハンドにヌル・ウヴェア、さらに全部乗せでヌル・ウヴェア・ハンドまでありますけど、それぞれ35点、46点、59点とちゃんと決まってます。

スートゲームとグランドはちょっと複雑で、「基本点×達成点=取れるゲーム点」となっています。
「基本点」は、宣言スートによって決まってます。クラブは12点、スペードは11点、ハートは10点、ダイヤは9点、あとグランドは24点です。
「達成点」は色々種類がありまして、まあとりあえず下の表をごらんください。

種類達成点内訳
ゲーム1点必ずつく。
トップ各1点ウィズ、またはウィズアウト。最低1はある。
ハンド1点
シュナイダー1点カード点90以上獲得する。
シュナイダー宣言1点ハンドゲームのみ可能。
シュヴァルツ1点全トリック獲得する(カード点120ではない)。
シュヴァルツ宣言1点ハンドゲームのみ可能。シュナイダー宣言を含む。
ウヴェア (オープン)1点ハンドゲーム、またはヌルのとき可能。
ハンドゲームのときはシュナイダー宣言&シュヴァルツ宣言を含む。
逆シュナイダー1点カード点30以下しか獲得できない場合につく。
逆シュヴァルツ1点1トリックも獲得できない場合につく。

はいそこ! ドン引きしない! 今からちゃんと説明するから!

「ゲーム」は、61点取ろうが取るまいが、いつでも必ず1点つきます。
「トップ」は、「切札スートが強い順に、手札+スカートに連続何枚あるか(ウィズ)」または「連続何枚欠けているか(ウィズアウト)」の数字です。たとえばスートゲームなら4枚Jがあれば4点(ウィズ4)、クラブのJはないがスペードのJがあれば1点(ウィズアウト1)、こういう具合です。
トップ(ウィズまたはウィズアウト)は必ず1はあるので、ゲームの1とあわせて達成点2は必ず取れるわけですね。2枚のスカートもトップに含まれちゃうので、そこだけ注意です。

たとえばダイヤ切札(スートゲーム)でクラブのJはあるがスペードのJはない、でプレイに勝った(カード点61以上取った)ら、基本点9×達成点2(ゲーム1+ウィズ1)=18点、が獲得点数になります。
強い切札をいっぱい持ってたら達成点が高いのは当然ですが、Jがぜんぶ切れてても勝負がうまくいけば達成点が高い、というのが面白いですね。


ほかは追加宣言に対応していて、言うごとに達成点が乗ります。
「ハンド」「ウヴェア」は言えば即達成点が上乗せされますが、当然乗せたぶんだけプレイ条件は厳しく、カード点61は取りにくくなります。
「シュナイダー」「シュヴァルツ」は、宣言したしないに関係なく達成すると1点、先に宣言してるとさらに1点、となっています。達成が難しいぶんお得です。
「逆シュナイダー」「逆シュヴァルツ」はまあ、めったにないから……俺、初プレイのとき逆シュナイダー食らったことあるけど……。

こんだけ種類あると、得点経路がいっぱいあるってことです。夢がありますね。その夢を追って星屑になっていった人たちも私はいっぱい見ました。
でもシュナイダーぐらいなら結構できちゃいます。痺れますよ、自らハードルを上げてそれに挑戦するのは。61点取ってビッド18、はい成功、じゃ面白くありません。ハンドもシュナイダー宣言も、思いきってやっちゃいましょうよ。


ただ、ね。
ビッドのとき、この数字を言って賭けなきゃいかんわけですよ。こんなめんどくさい掛け算、いちいち覚えられるわけないじゃん? デスヨネー
そんな私のような方のために、このようなビッド点一覧というのがございます。


左はビッド点、右はそれに必要なスートと達成点の組合せです。
追加宣言は最初はあまり考えなくてもよくて、まず手札にトップが何点あるかだけ数えて、それにゲームの1を足してビッドに乗るかどうかを見ればいいです。
まあ、困ったら最初のうちは24までで止めておけば、大きく事故ることはないでしょう。


■ゲーム点計算

で、プレイしたらゲーム点を計算します
まず達成点、トップは結局何点だったのか(カードはトリック取った人に集めちゃうので、元手札のトップ点だけ覚えといてください)、シュナイダーできたか、もろもろ足します。
それを基本点(スートごとの点数)に掛けて、最初のビッドと同じか上回れば、実際に取ったゲーム点がもらえます。18をビッドして36点取ればちゃんと36点です、ご安心を。

勝負に失敗したら? 例えば36をビッドして18しかゲーム点がなかったとか、そもそもカード点が61行かなかったとかだったら? 当然失点です。
宣言した切札スートをもとに点数計算します。で、それを失敗ボーナスとして2倍してください。それがソロイストの失点です。勝負の世界に情け容赦はないんやで。
(ちなみにビッドが実点数を上回ったら、実点数≧ビッドになるまで達成点を1ずつ上乗せしてください。)


ビッドに成功すれば大きく点数を乗せられる。宣言もいっくらでもできる。でも失敗すればマイナス点はさらに大きい。
しかも1対2でそれを成功させなければならない。10枚+スカート2枚で20枚に勝つって結構な勝負なんですけど、ここにこそギャンブル的な魅力がありまして、慣れるとほんと病みつきになるわけです。
ここまで記事を読んでくれたあなたなら、この魅力分かってくれるって、私、信じてる!


まあ四の五の言いましたけど、要点は
「ビッドではゲーム点を言う。ゲーム点は基本点×達成点。基本点はスート、達成点はトップ・宣言・プレイで決まる。プレイでビッド以上のゲーム点&61カード点を達成すれば得点、達成しなければその2倍が失点」
です。

あとはリファレンスを見ればわかる! 難しくない! 決して難しくないよ! だからそんな目で見るのやめて!

ポイント(3) ゲームの進行おさらい 〜 ビッドは自由

これでルールはほぼ全部説明してしまったので、あとはゲームの流れを復習しながら細かいところを補足していきましょう。

■カードを配る

まず、ディーラーはカードを3人に配ります。一応ルール上はお作法があって、各3枚、スカート2枚、各4枚、各3枚とやります。カジュアルプレイなら別に無視していいと思います。

■ビッド

ディーラーの左から順にフォアハンド、ミドルハンド、リアハンドというんですが、まずミドルハンドとフォアハンドが勝負します。
ミドルハンドはビッドする数字(ゲーム点)を言って、フォアハンドはそれを受ける(イエス)かパスかを言います。別にイエスに限らず「OK」「まだまだ」とか何でもいいですが、とにかくフォアハンドは自分でゲーム点を決められない、ということに注意してください。ミドルハンドは受けられたらさらに数字を上げるかパスします。どちらかがパスするまで繰り返しです。
そこで勝ったほうとリアハンドが勝負します。さっきと同じくリアハンドが数字を言って、さっきの勝者がイエスかパスかを言います。一方がパスしたら、このディールでのソロイストが決まります。
全員即パスなら、ディールは流れます。

■ソロイストの宣言

その後、ソロイストはスカートを取って(ハンドで勝負したければ取らない)2枚を伏せ、ゲームの種類と切札、あと追加宣言を決めます。スカートで伏せた2枚もソロイストのカード点に入るので、Aや10は伏せるのも手ですね。
ここでひとつポイントがあって、例えばダイヤ切札のつもりで「18」とビッドしたとします。でも手札を見たらクラブで勝負したくなった。そしたら別にゲームを「クラブ」と宣言してもいいのです。それでカード点をきちんと取ればゲーム点が24以上入るので、ビッド達成です。
ビッドを数字でやるのはこういうわけで、切札スートを言ってるわけじゃないから、切札と違う数字を言っても全然問題ないんですね。だから低い点から言っていけば、スカートの2枚によって切札を最初のつもりから変えることだって自由です。
相手がどの点数でパスしたかである程度手札の推測はつけられますが、それが必ずしも当たるとも限らない。ビッドの数字だけで、駆け引きが多分にあるわけです。こういうところがトリックテイキングの醍醐味ではないかなって、私は思ってます。

■プレイ

オープニングリードは、フォアハンドからです。ソロイストではありません。フォアハンドが敵の場合、最初のリードがなかなか重要だったりしますね。それで何トリックか違うこともざらです。

■得点

最後に得点をつけます。ソロイストのあなたは、みごと成功したでしょうか?


おわりに

なんとなく潜在プレイヤーを減らしてしまった気はしなくもないです。

まあルールを説明しただけですんで、私がこれ以上言うことはありません。
とりあえずみんな1回遊んで! おもろいから! なんか下手な説明で申し訳ないけど、やってみたらマジですごいから!

もし3人集まらなかったら、iPhoneアプリもあるよ!


それじゃ私はゲームマーケットの準備があるんでこの辺で! アデュー!




この記事は「Trick-taking games Advent Calendar 2016(トリックテイキングゲーム・アドベントカレンダー2016)」の、2日目の記事として執筆されました。

<2016/12/2>

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