No.20 ニムト / 6 nimmt!
こんなはずじゃなかった! 悲鳴が飛び交う! 恐怖の牛!
作者 | Wolfgang Kramer ヴォルフガング・クラマー |
人数 | 2〜10人 |
プレイ回数・人数 | 50回/2〜10人 |
時間 | 10分 |
種別 | カードゲーム |
ポイント | 【初心者向け】【家族向け】 |
ゲーム難度(5段階) | 1+ |
評価(10点満点) | 9 |
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私がドイツゲームに熱中するきっかけになったのは
カルカソンヌなんですけど、
実はそれより10年以上前、友達の家で誘われて6〜7人で遊んだゲームがあるんですね。
それが「ニムト」。つまり、そんな昔からあるわけです。
その後に別のゲームを遊ぶには至らなかったのですが、盛り上がったことだけは覚えてて、遊ぶ機会もないのに買ってずっと持ってました。
そもそもカルカソンヌをメビウスゲームズに買いに行ったのも、ニムトが面白かったことや、
メビウスでニムトを買ったと友達が話してたのを覚えてたからなんですね。
ドイツゲームに触れる、最初のきっかけでした。
ですので、このゲームにはちょっとした思い入れがあり、ぜひ多くの人に遊んでほしい一作でもあります。
簡単で10人まで一度に遊べて、いろんな機会に使えますので、ご紹介したいと思います。
ルール
■ゲームの目的
牛カード(失点)を、
なるべく集めないようにすることです。
■準備
1〜104の数字のカードが1枚ずつ、計104枚。
これをよく切って、全員に10枚ずつ配ります。
残りのカードから4枚めくって、写真のように縦に並べます。
テーブルの上には、カードを置く列が4列あると考えてください(写真の赤枠)。
各列、5枚までカードが置けます。
場に並べた4枚は、各列の最初の1枚になります。
余ったカードは、その回のゲームでは使いません。
■ゲームの流れ
やることは簡単で、
全員一斉に「せーの!」で手札からカードを1枚表向きに出します。
手札が10枚なので、10回出せばゲームは終わりです。
出したカードは、以下の(1)〜(5)の手順に従って、場の4列に捨てていきます。
ゲームとしては、これを10回繰り返すだけです。
カードを集めると失点になるので、うまく捨てることを目指します。
たとえば、このようにカードが出された場合。
(1)
「25」「28」「54」「66」の4枚から、
まず一番数字が小さいカードを選びます。
(列に並べるときは、牛の数は関係ありません)
この場合は「25」です。
(2)
そのカードを、
「25より小さく、25に一番近い数字」の列に捨てます。
(各列の最大の数字だけを見ます)
下の写真の場合だと、「5」「19」が25より小さく、19のほうが25に近いので、19の隣に並べます。
この列の最大の数字は、19から25になりました。
(3)
次に、残った「28」「54」「66」の3枚から、一番数字が小さいカードを選び(この場合は28)、同様に捨てていきます。
28に対しては、さっき置いた25が「より小さく一番近い」ので、25の隣に置かれます。
これを繰り返し、全てのカードをどこかの列に並べます。
4枚全部を並べると、こうなります。
(4)
こうやってカードを並べていくわけですが、このゲーム、
どの列にもカードは5枚までしか置けない
という制限があります。
並べようとする列にカードが5枚ある場合、その列の5枚全部を、失点として引き取らなくてはなりません。
そしていま出したカードが、引き取った列の新しい1枚目になります。
引き取ったカードは、
手札と分けて自分の前に伏せて置いておきます。
引き取ったカードに描かれた、牛の数がマイナス点です。
一番失点が高い55のカード、通称「松井」。このネタも少しずつ消えていくのかなあ…。
(5)
では
もし、出したカードの数字が4列のどこよりも小さくて、どこにも並ばない場合は? 自分で好きな列を選んで、必ずその列を引き取らなくてはなりません。
出したカードを列の新しい1枚目に置くのは、(4)と同じです。
取らされるため小さい数字は一見不利なのですが、場のカードが「5枚」「5枚」「5枚」「1枚」などとなっていた場合、わざと小さいカードを出して、1枚の列を引き取る作戦もあります。
失点0のまま行くのはなかなか難しいので、あえて小さいカードで先に取りに行き、失点を少なく抑えるのです。
もちろんその列が空いたことで、次の人に楽をさせることもあるわけで、そのあたりに駆け引きがあります。
場札がこんなになると、もう誰かが絶対どこかを引き取らざるをえません。キリキリします。
これは20周年記念版で「0.3」など特殊なカードが入っているのですが、雰囲気は分かってもらえるかと思います。
■カードの配置ルールまとめ
(1) 出したカードのうち、一番数字が小さいカードを選びます。
(2) そのカードを、場の4列のうち「自分の数字より小さく、かつ一番近い数字」の列に置きます。新しく並べたカードが、その列の数字になります。
(3) 残りのカードで(1)(2)を繰り返し、カードを全部置ききります。
(4) 上記(1)〜(3)の途中で、置くべき列にカードが5枚ある場合、その列の5枚を全部引き取って自分の前に伏せます。いま出したカードが、引き取った列の新しい1枚目になります。
(5) 4列とも自分の数字より大きい数字しかない場合、好きな列を選んで引き取ります。
■ゲームの終了
全員が10枚出して、手札がなくなったら終わります。
手元にある引き取ったカードの牛を数えて、
より少ない人が勝ちです。
説明書によると、手札10枚を1ラウンドとして、誰かが66点に達するまで何回かゲームを繰り返す、と書かれています。
その通りにやってもよいですし、何ラウンドも遊ぶと冗長になることもあるので、1ラウンドか2ラウンドだけやって合計で勝負するようにしてもよいでしょう。
感想
20年以上前のゲームなのに、面白さは未だ色褪せません。
このゲーム、コストパフォーマンスの良さをよく言われます。
2人から10人まで遊べる。
カードゲームなので持ち運びもしやすいし、旅行先でも遊べる。
何人で遊んでもプレイ時間がほぼ変わらず、1ゲームが短い。
それらも当然大きな長所には違いありませんが、それ以前にそもそもこのゲームはとても面白いです。
あまり経験したことのないルールに、まず驚きます。しかし、ドイツゲームを全然知らなくても、人がやるのを見ていれば5分でルールは分かる。
そして、ルールが分かればすぐにカードの出し方に頭を悩ませることができる。手札の数字が大きく偏っても、小さく偏っても、それなりに戦い方がある。小さい数字で牛を少なく引き取るか、大きい数字でうまく引き取らないタイミングを狙うか、考えどころが分かりやすい。
そうして悩んで決めた作戦が成功することもあれば、ほかの人のカードであっさりひっくり返ることもある。
個人的には、作戦が成功したり失敗したりする、その按配が絶妙だと感じます。戦略がうまくいかないこともありますが、考えないと絶対に勝てません。作戦が成功するかどうか、悩んで悩んでカードを選んでも「ちょっと待って、やっぱりこっち」と選び直すあのスリリングな感覚は、遊んだ人なら分かると思います。
そして考えたら、ある程度きちんと結果が出るようになっています。悩んだ末に思惑が当たったときの気持ちよさがちゃんと味わえます。
カード運もあり、他人の出し方を予想する人読みの要素もあり、自分の手札を調整するマネジメントの要素もあり、バランスがとても良いのです。
私は初めてこれを遊んだとき、痺れました。一瞬で決着がつくのに、こんなに悩ましい。「こんなゲームがあったのか!」という衝撃は未だに覚えています。
遊んだことがない人には、ぜひこの感覚を味わってほしい。
人数は4人以上いれば、間違いなく楽しめます。もちろん大人数で一斉にカードを出して、列が次々に埋まっていくのも面白い。
実は2人でやったこともありますが、案外悪くありません。
※少人数の場合、人数に合わせて使うカードを「人数の10倍+4」の数字まで減らすバリエーションもあります。カードを抜き出すのが面倒ではありますが、より戦略的になるので試してみてください。
旅行に持って行って、宿でワイワイゲームする、なんてシチュエーションには最適です。本格的なボードゲームをする前の「つかみ」としても十分に威力を発揮してくれます。何度か遊ぶと考えどころも人のクセも見えてくるので、2〜3回続けて遊ぶのがおすすめです。
おもちゃ屋さんや電器店など、売っている店はたぶんどのゲームよりも多いと思います。見かけたらぜひ買っておくといいでしょう。
<2015/09/09>
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