No.17 パッチワーク / Patchwork
綺麗な布ができたら、写真をとろう!
作者 | Uwe Rosenberg ウヴェ・ローゼンベルク |
人数 | 2人 |
プレイ回数・人数 | 5回/2人 |
時間 | 20分 |
種別 | ボードゲーム |
ポイント | 【初心者向け】【2人OK】【家族向け】 |
ゲーム難度(5段階) | 2 |
評価(10点満点) | 8 |
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昨年末に発売されてから、ずっと話題になっていたこちらのゲーム。
気になっていたところ、妻が先に遊ぶ機会があったらしく、感想を聞いてみるとかなり良かったというので、ついにわが家にも1個導入しました。こうして書くと家電みたいですね。
ですので、購入当日の写真とともにご紹介したいと思います。
ちなみにその後、周囲の人たちも次々と買っていき、私の知人だけで6人持っています。なんか手芸部を作ろうという動きまで出ているらしく、近々大会が開かれるとか開かれないとか。
先日開いたゲーム会でも10回以上プレイされていて、私の周りではちょっとしたブームです。
まあ、それはそれとして…。
ルール
■概要
布タイルを集めてつなぎ合わせ、自分のパッチワークを作ります。
より美しいパッチワークを作り、
・できた布の隙間がより少ないこと
・最後に持っているボタンの数がより多いこと
を競うゲームです。
■準備
・ボタンチップを1人5点ずつ取り、残りをボーナスタイルと一緒に適当な場所に置きます。
・各自の手前に布ボード(9x9)を置きます。
・時間ボードを2人の中央に置きます。その上に1マスのボーナスタイルを並べ、一番外側のスタートマスに時間マーカーを置きます。
・時間ボードの周りに布タイルを円形に並べて、布タイルのトラックを作ります。
・最後に、1x2の布タイルの前(時計回り方向)に、ポーン(人型の木コマ)を置きます。このコマは取れる布タイルの範囲を表しており、布タイルのトラックを時計回りに進みます。
こういう感じで並べます。意外とタイルが多いので広めのスペースがあるといいです。
■手番
このゲームでは、手番を交互に行うのではなく、時間マーカーが後ろにあるほうのプレイヤーが手番を行います。
そのため、どちらかが連続して手番を行うこともあります。
手番でできることは、次の二択です。
・タイルを取る
・時間マーカーを進めてボタンをもらう
どちらかを行った後、時間マーカーがより後ろにある方が次の手番を行います。
<1. タイルを取る>
現在ポーンがある位置から、3つ先までのタイルを1枚選んで取ります。
タイルのタグには「必要なボタンの数」「時間トラックを進める数」が書かれており、
その数だけボタンを支払います。
ボタンが足りなければ、そのタイルは取れません。
たとえばこのタイルだと、ボタン5個支払うと獲得できて、時間トラックは4マス進めます。
大きく描かれた2個の青ボタンは、後述の決算でもらえるボタンを表します。
取った布タイルは、自分の布ボードに配置します。
一度置いたタイルはもう動かせないので、うっかり置いたタイルが後で邪魔になったりもします。
置いたら、タイルに書かれた砂時計の分だけ、時間トラック上で自分のマーカーを進めます。
相手と同じマスに入ったら、進めた方のマーカーを上に乗せます。
(上に乗ったほうが次の手番を取れます)
<2. 時間マーカーを進めてボタンをもらう>
タイルを取れるだけのボタンがない場合、または取りたくない場合は
時間マーカーを「相手のマーカーの1マス先」まで進めて、
進めた数だけのボタンをもらうこともできます。
ボタン不足のためタイルが取れない場合、ここで補充がきくようになっています。
■マーカーが進んだら
どちらの場合も時間マーカーが進むのですが、このとき
(1) マーカーが時間トラック上の「ボタン」を越えると「決算」が発生し、ボタンが収入としてもらえます。
この収入は、手元に並べた布タイルに描かれたボタンの分だけ受け取れます。
(2) マーカーが時間トラック上の「1マスタイル」を越えると、そのタイルがもらえます。
もらったタイルは、すぐに布タイル上に配置しなくてはなりませんが、
埋まりにくい布地の隙間などに置けるので、タイミング次第で便利に使えます。
1マスタイルを越えたところ。早い者勝ちです。
■ボーナスタイル
それ以外に、ボードのうち7x7のスペースを先に全部埋めたら即もらえる
ボーナスタイルというのがあり、取ると最後に7点プラスされます。
これも先着1名限定。もらえると結構うれしいです。
ボードが9x9の広さなので6割ほどを埋めたらいい計算ですが、意外とスペースが埋まらず、取り合いは結構熱くなります。
だいたい5〜10点差ぐらいがつくゲームなので、このタイルでの逆転も十分起こりえます。
■ゲームの終了
2人の時間マーカーが両方ともゴールしたら、ゲームは終わります。
(1) 手元に残ったボタンは、1個につき
プラス1点です。
(2) 9x9の布ボードに残った隙間は、1マスにつき
マイナス2点です。
(3) ボーナスタイルを先に取ったほうは、
7点をプラスします。
3つを合計した得点が、より大きいほうの勝利です。
遊んでみた
買ってきたときの写真があるので、ちょっとだけ紹介します。
ファミレスで開封の儀。妻が「新しいゲームはいいねー」と言いながら、大喜びでタイルを抜いてます。
序盤はこんな感じです。
先行投資を惜しまず、ボタン生産力を早めに伸ばすことが重要とみてとったので、ボタンの多いタイルを優先して取っていきます。
結果、16対-14で勝ちました。空きマスの-2点が想像以上に大きく、油断してると普通にマイナス点になります。
感想
可愛い見た目どおり女性に好評なゲームで、ルールも簡単、30分ぐらいで遊べる。
ひさしぶりに初心者に全力でおすすめできる作品がやってきた、という感じです。
このゲーム、「終わると写真を撮りたくなる」ところが、なんといっても最大の美点ではないでしょうか。
とにかく布地がカラフルで毎回違う盤面になるので、見ていて飽きません。タイルの形も大きさもバラエティがあって、それがゲームの進行を多様にするだけでなく、見た目の華やかさも同時に作り出しているところが、すばらしい。
タイルを置くこと自体が楽しく、ゲームが終わって自分の作ったパッチワークを見るのも楽しい。勝ち負けだけでない作ること自体の喜びがあるから、たとえ負けても、不思議と満足感があるのです。
作ることの喜びと書きましたが、ゲームの仕組みとしてそれを支えているのが「ボタンによる収入」です。
最初は相手を追い越すことでしかボタンがもらえないが、布地が少しずつできてくるにつれ、そこからもらえるボタンの数も増えてくる。もらったボタンを元手により大きな布タイルを取り、そのタイルがまた収入源になって、次の収入はもっと多くなる。
こうした「収入→買い物→より多くの収入→より大きな買い物→…」という、生産力が高まっていくサイクルを拡大再生産と呼びますが、こんなに単純なゲームなのにちゃんと拡大再生産の仕組みがあるのは、すごいことです。
だから、テーマはパッチワークなんですが、遊んでいる感覚としてはむしろ農業っぽいです。自分の土地(布地)を広げ、畑を耕して育てた作物(ボタン)を収穫してる、そんな気分になります。
昔mixiというSNSサイトで「サンシャイン牧場」というゲームがヒットしたとき、周りの女性が結構やってましたが、ああいったテーマのゲームを好むのと同じような感覚で女性受けするのかな、と思います。
パズル的ではあるものの、そこまでがちがちの思考戦という感じはなく、案外きつくありません。
布タイルの並びが毎回変わる以外はすべての情報が公開なので、パッと見は囲碁将棋のような難しさがあるように思えますが、毎回取れるタイルが3枚に限定されているので、次に打つべき手が見えやすくなっています。2手先ぐらいならわりと簡単に読めるため、考えるしんどさが良い形で軽減されているところも取っ付きやすいです。
値段は4000円程度と決して安くはありません。とはいえ、タイルやボタンチップの美しさを考えれば妥当なところではあります。気軽に何度でも遊びたくなりますし、気になった方はぜひ入手してほしい一作です。布を自分で組み合わせて作っていく手触りは、アナログゲームならではのものですよ。
<2015/03/19>
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