No.12 ジュリエットと怪物 / Julchen und die Monster

あ〜あ〜あ〜 すば〜らし〜い〜 シャッホー シャッホー♪

作者Marcel-Andre Casasola Merkle
マルセル=アンドレ・カサソラ・メルクル
人数2-5人
プレイ回数・人数5回/3-4人
時間20分
種別カードゲーム
ポイント
ゲーム難度(5段階)3
評価(10点満点)9



投げやりな前置きで恐縮ですが、どうも最近忙しいので、パッと紹介できるゲームをバーっと書いてサクッと公開したいと思います。雑な文でほんとごめんなさい。

ということで、こないだ野沢温泉の旅行に持っていって好評だった
「ジュリエットと怪物」を紹介するよ! 1000円で買えるよ! おもしろいよ!

ルール


■概要

33枚のカードを使った変形ババ抜きです。

で、ババがこれ。

ジュリエット。

普通のババ抜きとちがうのは、
このゲームは最後までジュリエットを持ってた人が勝ちです。
もしくは、自分の手番で相手を「攻撃」できる(カードを1枚引く)のですが、
うまくジュリエットを攻撃できたら、それでも勝ちです。

■準備

ジュリエットを除く32枚をよく切って、トラックに7枚置きます。

こんな感じです。

それから、残ったカードにジュリエットを入れて再びよく切って、1人2枚ずつ配ります。
あとのカードは山札にします。

■手番

できることは3種類あり、どれか1つを選んで行います。

(1) 山札から1枚引き、自分の手札にします。
(2) 他の誰かの手札から1枚引き、自分の手札にします。
(3) 自分の手札から同じカード2枚を捨て、他の誰かの手札を「攻撃」します。

(1)と(2)は、説明不要かと思います。

(3)ですが、実際にやることは(2)とほぼ同じで、他の誰かの手札から1枚引いて自分の手札にします。
(2)との違いは

・攻撃するとき、自分の手札から同じ数字のカード2枚を捨てる
・攻撃される人は、「6」の武器カードを出せば、攻撃を拒否できる
・引いたカードがジュリエットだったら、攻撃した人が即座にゲームに勝つ

この3点です。

数字はどれでも良いので、2枚あればこのように捨てます。捨てたカードはもう使いません。

なので、(3)の手順としては
「攻撃する人が2枚捨てる」
→「受ける人は6があれば、それを出して攻撃を防いでもよい」(防いだらそれで手番終了)
→「攻撃する人は防がれなければ、相手のカードを1枚引く」
となります。

■終了条件1「ジュリエットを攻撃する」

このとき、(3)でジュリエットを引けば、攻撃した人の勝ちでゲーム終了です
(それ以外を引けば、単に手札に入れて、手番終了します)

簡単にいうと、(1)か(2)でうまく手札を集めてから
相手が持っていそうなジュリエットを(3)で攻撃して勝つ

そういうゲームです。

■特殊ルール1「カードの並べ替え」

さて、ここまで読んで当然の疑問として

誰がジュリエットを持ってるかどうやって知るんだよ

というのがあります。
それを知るために、次のルールがあります。

「7(稲妻)か8(ジュリエット)のカードを引いたら、必ず手札を並べ替える」

どちらを引いたかを知らせる必要はありませんが、
手札の並べ替えが発生することは、必ず全員に言わなければなりません。
7の稲妻は4枚、8のジュリエットは1枚なので、5分の1の確率で
ジュリエットを引いたかもしれないということが分かります。

その後、手番プレイヤーは並べ替えを行い、手番を終了します。
並べ替え宣言さえしていれば、並べ替え前と同じ順番にしても、大丈夫です。

もちろん、最初にジュリエットが配られた場合は例外で、並べ替えは起こりません。

■特殊ルール2「カードを並べる順番」

いやいや、と思うでしょう。
だっていくら並べ替えたって

どこにジュリエットがあるか分からないんだから、同じじゃね?

という疑問も当然わくでしょう。
しかし、実はこんなルールもあるんです。

「手札は、値の大きいカードが中央にきて、小さいカードが端にくるように並べなくてはならない」

たとえば、手札を「0、1、1、2、3、5、7、7、8」と持っている場合、

【これはOK】
「0 < 1 < 2 < 7 < 8 > 7 > 5 > 3 > 1」
中央の8が最大で、左右に行くほど数字が下がっています。

「1 < 1 < 3 < 5 < 7 < 7 < 8 > 2 > 0」
同様です。

「8 > 7 > 7 > 5 > 3 > 2 > 1 > 1 > 0」
左端の8が最大で、右に行くほど数字が下がっています。逆も可。

【これはダメ】
「0 < 1 < 2 < 8 > 5 7 > 7 > 3 > 1」
8の右が5と下がっているのに、その右が7と上がっています。

「1 < 3 0 < 5 < 7 < 8 > 7 > 2 > 1」
5の左が0と下がっているのに、その左が3と上がっています。


つまり、数値を <> の形に並べないといけない、ということです。
かつ、一度並べたカードの順番は
稲妻かジュリエットによる並べ替え以外では変更できません。

そして、新しいカードを引いたときは、このルールを崩さない場所にしか
カードを入れることができません。


これによって、だいたい相手がどこに大きいカードを持っているか
という推理が効くようになっています。
自分がカードを引かれた場合など、当然どの数字か知っているわけなので
相手がどこにカードを入れたかを見れば、どんな並び方になっているか、うっすら見当がつく!
ということもあるわけです。

■終了条件2「朝まで逃げる」

そんなわけで、ジュリエットを狙って攻撃すればいい、というのはわかりました。
では、ジュリエットを引いてしまった人はどうすればいいのか?

ジュリエットを守ったまま、朝まで逃げてください。

攻撃のためにカードを引いていると、山札がなくなります。
山札がなくなったら、最初に並べたトラックの1番のスペースから
順にカードを引いていきます。

トラックのカードが全部引かれたら、朝です。
そのときまでジュリエットが攻撃されていなければ、
ジュリエットを持っているプレイヤーの勝ちです。


■終了条件3「手札を減らして逃げる」

最後に、ちょっと特殊な終わり方が、もう1パターンだけあります。

トラックからカードを引いたとき、そのスペースに数字が書いてあります。
そこを見て、

「自分の手番終了時に、ジュリエットを持っていて、かつ手札枚数がトラックの数字以下であれば、逃げたことになってそのプレイヤーの勝ち」

という終了条件もあります。

たとえば下のように、トラックの「3」までカードがなくなっている場合。

自分の番が終わって(つまりカードを引いた後で)、ジュリエットを持っていて、
手札が3枚以下なら、その時点で勝ちます。

ということは、終盤に手札を減らして、人からジュリエットを引いたら
攻撃しなくても勝つことがあるわけです。
やってみないと解りにくいルールですが、終盤の戦略として
大いに効いてきますので、覚えておいてください。

遊んでみた


友人夫妻と温泉旅行の2日目、手軽に遊べそうなゲームをと思って
3人でいるところに出してみました(妻はまだ寝ている)。

温泉宿の朝。いい天気です。

が、ルールを説明してみても、みんなよく分からないらしい。
そりゃそうだ。説明してる俺がよく分かってないんだから。
ルールは読んできましたが、どうすれば勝てるのか、いまいち要領を得ない。

ま、一回やってみようということで、友人夫妻と3人で遊んでみます。


と、いきなり手元にジュリエットが来ました。
よし。とにかくこいつを引かれないように守りきろう。
そうなると戦略は

「いかにも手元にジュリエットがないふりをして、延々しらばっくれる」

に決まってます。
何も分からない顔をして、延々山札から引く。
淡々と引く。
「分からんねえ」などと言いながら、引く。

他の2人も手元にジュリエットがないので(当たり前ですね)、
とりあえず山札から引き続けています。
一緒によく分からないふりをする。よし、ばれてない。

とはいえ後半になると、段々相手の2人がお互いに持ってないのが分かってくるわけで、
その間も俺はひたすら山札を減らし続けるわけで、
そのうち山札が切れる頃には、もう俺がジュリエット持ってるって
さすがに知られるわけです。

そうすると、2人は当然こちらを狙って攻撃してきます。
対抗するには、ひたすらトラックから引き続けて、朝まで逃げるしかない。

トラックの札を早く減らしたい俺と、
減ってしまう前にこちらのジュリエットを攻撃したい2人。
思惑が見事にぶつかり、緊張感があります。

あるときは攻撃を6の武器でかわし、
あるときはブラフで関係ない札を引かせ、
そしてトラックの4枚目をめくって、

次のターン。
相手の手札を攻撃します。
ジュリエットを持ってないのになぜ攻撃するかというと、この攻撃で手札が1枚減るからで、

手札を4枚に減らして、勝利!

うお、これ面白いぞ! すごい!
たったこれだけのカードで、こんな駆け引きがあるなんて!

だいたい分かったところでもう1戦、3人で遊びます。
それから妻が起きてきたところで、4人戦をさらに2回。


3戦目は、横の2人がやたら稲妻を引いてシャッフルが入る展開に。
野沢温泉って冬になると、スキー場に毎朝


雪は青春/田中星児 野沢温泉スキー場 ゲレンデ9時の歌

こんな歌がかかるそうですが(0:32あたり参照)、
シャッフルが入るたびに、そのメロディーで
「あ〜あ〜あ〜 すば〜らし〜い〜 シャッホー シャッホー♪」
という替え歌を歌いながらシャッフルが入ります。
分からんわ!

結局その歌のせいで、引いたのがジュリエットなのか稲妻なのかさっぱり読めず
いいところなく負けてしまいました。

そして4戦目。山札が尽きて、未だ手元に何もない。

4戦目はなんと、山札の最後の最後にジュリエットが埋もれていたらしく
最後になって一気に争奪戦が白熱しました。


結局、午前中はチェックアウトまで、ずっとこれだけ遊んでました。
といっても一戦20分ぐらいかな。2回勝ちました。面白かった!

感想

正直、買うまではなめてました。1000円のババ抜きが面白いわけがないと。
そして予想は完全に裏切られました。なんだこれ! 凄いぞ!

ルールを読んだだけでは、何が面白いのか分からないゲームは結構ありますが
その見本のような作品です。どういう勝ち筋を狙えばいいのか、何を目指すのか
やるまではまったく把握できません。

それが、一度遊んでみると、次々に謎が解けていきます。

なぜ初期手札が2枚なのか。最初に並べ替える手間をなくすためです。
なぜ相手の手札からも引けるのか。ジュリエットの移動が起こるからです。
なぜ手札の順番を固定し、ジュリエットで並べ替えを行うのか。推理の手掛かりを与えるためです。
なぜトラックにはジュリエットがいないのか。ゲーム終了前に読み合いを発生させるためです。
等々。

まったく無駄がない、美しいルールです。

そして、相手の手札の読み合い、駆け引きが序盤から濃密に発生します。
山札がなくなったときには、必ず誰かがジュリエットを持っている。
並べ替えたあのとき、あの人が引いたのかもしれない。
だけど、別の誰かが最初から持ってるかもしれない。
もしかしたら、山札の最後の1枚がジュリエットで、それまでジュリエットなんていなかったのかもしれない。

そういう「分かりそうで分からない」境目のあたりで、
ちょっとずつ相手の手札を推測していく。
この感覚が、すごくジリジリして、楽しいのです。

見た目ほど軽くはありません。濃いです。20分程度で、しっかり楽しめます。


3人と4人で遊んでみましたが、どちらも面白いです。
個人的には、3人のほうが手札の分布が読みやすく、駆け引きが前面に出て面白いと思いましたが
4人だと戦況がコロコロ変わるスリルがあり、それはそれで悪くありません。

5人と2人は遊んでいませんが、5人は、4人に近いと思います。
2人だと戦略が大幅に変わるのは間違いなく、これも一度試してみたいです。

面白さは文句なしなのですが、ただ書いたように、ルールが直感的ではありません。
ゲームに慣れていない人だけでいきなりこれを遊ぶと、勘所が分からないような
気がするので、【初心者向け】マークは外しました。
(ゲームに慣れた人がうまく説明すれば、大丈夫だと思います)
少ないルール量のわりには理解しにくいので、難度も3です。

箱の小さい見た目ほど簡単なゲームではないのですが、
それ以上に「これだけのカードで、こんなに面白くなるのか!」
という驚きがあります。

私は本当に、衝撃でした。ぜひ一度、遊んでみてほしいと思います。

<2014/10/9>

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