No.1 カルカソンヌ / Carcassonne

私はこれでドイツゲーム始めました!

作者Klaus-Jurgen Wrede
クラウス=ユルゲン・ヴレーデ
人数2-5人
プレイ回数・人数50回以上/2-4人
時間30分
種別ボードゲーム
ポイント【2人OK】【家族向け】【初心者向け】
ゲーム難度(5段階)3
評価(10点満点)10

2012年、11月のある日。

面白いボードゲームがあるらしいという噂を聞いて、
東京は水道橋の駅前にある、「メビウスゲームズ」というお店を訪ねました。

たくさんのゲームが並んでいる中、夫婦で遊べるゲームを探していて
ある一つの箱が気になりました。

棚の真ん中にたくさん置かれていて、人気があるらしい。
2人でも楽しく遊べるらしい。
基本のゲームだけでなく、追加して遊ぶ拡張セットも10以上あるらしい。
値段も3200円。高くない。

どんなゲームなのか分かりませんが、とりあえず買ってみようじゃないか。


そうして買った「カルカソンヌ」を、わくわくしながら家に持って帰りました。
箱を開けて、ルールブックをめくってみる。

……。

うん、ルール難しいわ。店長さんが「ウノよりは難しいよ」って言ってたけど、全くその通りだわ。

しかしまあ、そこでめげずにルールを読んでみました。さて、どんなゲームなんだろう。

概要

タイルを置き、街を広げてゆくゲームです。
フランス南部の城塞都市「カルカソンヌ」をモチーフにしています。

草原に広がる街には、道・都市・修道院の、3種類の建造物があります。
これらを建て、そこに自分のコマを置き、建造物を完成させることで得点がもらえます。
より多く、より広大に建て、たくさん得点することを目指します。

ゲームの一例です。タイルの組み合わせによって、いろんな街ができあがります。

ルールの項では、
・準備
・手番
・建造物と得点
・「相乗り」と「乗っ取り」

の4項目を、順に説明していきます。

ルール

■1 準備

スタートタイルを、テーブルの中央に置きます。

これがスタートタイル(1枚だけ裏面の色が違います)。
これから発展する街の起点になります。

残りのタイルは、裏返していくつかの山にします。
コマを各自7個ずつ持ち、別に得点表示用のコマ1個を、スコアボードに置きます。

■2 手番

やることは簡単で、2つだけです。

(1)
山から、タイルを1枚めくります。
めくったタイルを、すでに置かれたタイルに辺で接するように置きます。
角だけが接するようには置けません。

このとき、地形がつながるように置きます。
道はすでにある道と、都市は都市と、草原は草原と、つながるように置きます。
道や都市、草原が途切れるようには置けません。

こういう置き方はできません(左の都市、右の道がつながっていない)が、

これなら置けます。

(2)
今置いたタイル上の建造物に、自分のコマを1個置くことができます。
コマを置けるのは、道、都市、修道院の3つです。
(ほんとは草原にもコマを置けますが、ルールが特殊なのであとで説明します)

コマを1個置くと、その建造物にはそれ以上コマを置けなくなります。
なので、誰かが先にコマを置いた建造物にタイルをつなげても、コマを置けません。
先に置いたのが他人のコマでも、自分のコマでも、
とにかく1個でも置かれていたらもう置けません。

こうしてタイルをめくっては置き、コマを置き、を繰り返して
72枚全てのタイルを置いたら、ゲーム終了になります。


さて、置いたコマは、そのままではまだ得点にならず、手元を一度離れます。
では、どうやって得点するのか?いつコマが返ってくるのか?
それを次に説明します。

■3 建造物と得点

建造物は、いくつかのタイルを置き、閉じられることで完成します。
完成した建造物にコマを置いていれば、そのコマのプレイヤーが建造物に応じた得点を得られます。
また、完成することで、そこに置いていたコマも手元に戻ってきます。

道は、交差点(左のタイル)または都市の入口(右のタイル)に挟まれることで、閉じます。
道の所有者は、タイル1枚につき1点を得られます。
写真の場合、この道にコマを置いていれば、3点を獲得します。

都市の場合は、外壁ですべて囲まれることで、閉じます。
都市の所有者は、タイル1枚につき2点を得られます。
また、都市タイルに「紋章」が描いてあれば、紋章1個につき1枚分とカウントします。
写真の場合、この完成した都市はタイル7枚+紋章が1個(右から2番目のタイルに)あるので、
コマを置いた赤のプレイヤーが、8×2=16点を獲得します。

修道院はちょっと変わっていて、周りをタイルで囲まれることで、完成します。
修道院の所有者は、その修道院タイル+周り8方向のタイルの合計枚数が、そのまま得点になります。
つまり、完成すれば常に9点です。
写真の場合、コマを置いた青のプレイヤーが、9点を獲得します。


じゃあ、いくら大きい都市を作っても、いくら長い道を作っても、完成しなければ0点なの?

実はそんなことはありません。
未完成の施設でも、ゲーム終了時にちゃんと得点がもらえます。
ただし、ちょっと点数が少なくなります。

タイルを全部めくり、ゲームが終了すると、最終得点計算を以下のように行います。
・未完成の道は、タイル枚数×1点です。(これは完成時と同じですね)
・未完成の都市は、タイル+紋章の枚数×1点です。(完成時の半分になります)
・未完成の修道院は、その修道院タイル+周り8方向のタイルの合計枚数が得点になります。

ちゃんと得点になるので、置いたコマは決してムダにはなりません。
この最終得点計算で、思わぬ逆転が起こるのが、カルカソンヌの醍醐味の一つです。

ただ完成しないと、最後までコマが戻ってきません。
途中でコマがなくなって得点できないとか普通にありますので
そこは要注意ですかね。

■4 「相乗り」と「乗っ取り」

さて、これだけだといいタイルをうまく引いた人が勝つっぽいですが、
それをひっくり返せる技があります。下の写真をご覧ください。

いま、左の都市タイルを置いたところです。
この都市にはすでに青のコマがあるので、自分のコマを置けません。

しかし、これなら置けます。左上の都市と右の都市が、別々だからです。

その後、2つの都市がつながりました。
この都市にコマを置いた青・黄の2人とも、得点をもらえます。
こんなふうに「相乗り」すると、ほかの人の都市で自分も得点できます。
道で相乗りすることも可能です。

あるいはこんなふうに、相手よりも多くコマを置いた状態でつながると
コマが最多の1人(ここでは黄色)だけが得点をもらえます。
このように、ほかの人の都市や道に「乗っ取り」をかけることもできます。


大きな都市や長い道を作りたいけど、相手に乗っ取られるかもしれない。
だけど小さく作ると、得点がもらえない、というジレンマ。


都市や道をめぐるこうした攻防が、このゲームのもう一つの大きな魅力です。

遊んでみた

というようなことを、何となく理解して、夫婦2人で遊んでみました。
頼み込んで遊んでもらったとも言うね。

タイルを引く。
置く。
コマを置く。
また引く。
置く。

おお、なんか地図ができていくぞ。面白いんじゃない?

大きな都市ができたり、長い道が伸びたり。
そうしてどんどん地図は大きくなっていき、もっと都市を広げたい!というところで
タイルを全部使って、ゲーム終了。

少しの差で勝ちましたが、それより何より

地図が美しい!おもしろい!

これはまた別の日やったゲーム。僅差の1点差です。最終的にコマは全部手元に戻ってきます。

「もう一回やろう!」妻が言います。
気に入ってもらえたようです。30分ぐらいで終わったし、やってみたらそんなに難しくないし。
よしよし。うれしい。

で、再度プレイ。
少し慣れてきたので、今度は両者とも積極的にコマを置いていきます。
妻は、積極的に道に置いて、細かく得点していく。
一方自分は、都市に相乗りして、点の横取りにも挑戦する。

道を引いては「君の〜ゆく〜道は〜」と歌い、
修道院を引いては「アーメンアーメン」と唱え、
うん。楽しいね。

そして気がついたら終了。結局、どっちが勝ったんだっけ?

しかしとにかく2戦遊んで、2人ともたいへんこのゲームが好きになりました。
1ゲームがそんなに長くないし、でき上がった地図も綺麗だし、
タイルを並べて街を作る、それ自体になんとも言えない楽しさがあります。

なんていうか、この絵柄とあいまって、ゲーム全体にのどかな雰囲気が漂ってるんですね。
「おもちゃ」の感じがちゃんとあって、しかも良質で、大人が遊ぶクオリティにちゃんとなってる。
すごいなあ、と思いました。

というわけで、それからしばらくの間、毎日カルカソンヌで遊んでいたのでした。

草原ルール

で、ですね。

初回プレイでは実は「草原ルール」を抜いて遊んでましたので、それを説明したいと思います。めんどくさかったわけじゃないよ

コマを置くとき、道・都市・修道院だけでなく、草原にも置くことができます
草原に置いたコマだけ、ほかのコマと違って、ゲーム終了まで戻ってきません。
そのため、ほかのコマと区別するために、コマを寝かせて置きます。

得点は
「ゲーム終了時、草原に隣接した、完成している都市1個につき3点」
です。
例えば、

草原が区切られるのは、道、都市の外壁、タイルの端です。
下の草原(青のコマが寝ている)には、完成した都市2つが接しており、6点です。
(中央右の未完成都市は得点に数えません。右端の都市も草原に接していないので、数えません。)
上の草原(黄色のコマが寝ている)には、完成した都市1つが接しており、3点です。

もちろん、草原も1つコマがあれば、他のコマは置けませんし
別の草原にコマを置いて後でくっつける「相乗り」「乗っ取り」も可能です。
そのへんは、他の建造物と同じです。


あくまで私の意見なのですが、
得点計算がやや難しいのと、最後までコマが戻ってこないため不用意に置くと失敗しやすい
という理由から、最初に遊ぶときは、この草原ルールを抜くアレンジをおすすめします。
そのほうがこのゲームに入りやすいと思いますし、
慣れてから導入することで、よりゲームの深みが感じられるようになります。

(もちろん、説明書に特にそういう記載があるわけではないので、難しいと思わなければ最初から入れてしまって問題ありません)

私は、ゲーム慣れしない人にカルカソンヌを紹介するときは大抵、草原抜きでルールを説明します。
経験上、草原ルールを最初から入れた場合でも、初回プレイでは投入しどころがつかめずに
草原にコマを置けないケースが非常に多いです。
だったら、草原なしで遊んだほうが最初は分かりやすいのではないか、と感じています。


※ちなみに「最終計算で、未完成施設の得点を抜く」というアレンジもありますが
私はこれは最初から入れるほうがいいと思います。
ゲーム終盤まで都市や道が完成しないことも多いので、この得点を抜くと盛り上がりがなくなるのと
最後に逆転するワクワク感をとっておくためです。

感想

カルカソンヌは、私にとって最初に買ったゲームということで、特に思い入れがあります
これが面白かったからこそ、その後も趣味でボードゲームを遊び続けている、
そういう意味で特別な作品です。

ルールは最初聞くと難しく感じますが
やることは「タイルを置き、コマを置く」だけなのですぐ覚えられますし、
いざやってみると独特の魅力があって、勝った負けたとは別に、遊ぶこと自体に満足感があります。

去年の正月、妻の実家に帰省したとき
せっかくのお正月ということで、他のゲーム(ゲシェンクなどいくつか)と一緒に
これを出して4人で遊んでもらったんですね。
普段ゲーム等全くやらない家族なので、いざ遊んでみましたが
ちょっと難しかったかな、という印象でした。

が、意外なことに
翌日「昨日のゲームやろう」と言われて、リクエストされたのはこれでした。
2戦目もやっぱり難しいのは難しかったのですが、それでも再戦したくなる魅力が
あるのかなあ、と不思議な気持ちでした。
娘婿に気を遣ったんだろうって?言うな。

何故なのか考えてみると、上でも触れたように
「地図ができていく楽しみ」「大きな街を作る楽しみ」
が、根底にあるからじゃないかなと思います。

何もないところから街が広がっていく、ものを作る喜びがゲームの中に入っている。
自分の手でタイルを置き、木製のコマを置く。
どこにタイルを置くかをあれこれ話したりするので、一緒に遊ぶ相手との会話もある。

アナログゲームならではの魅力が、端的に詰まった作品じゃないか、と思うのですね。

もっと簡単な、10〜20分で終わる良いゲームもいっぱいありますが、
それだけでは飽きてしまうし、またやりたいとは思わないかもしれない。
かといって、1時間以上かかるような重量級ゲームだと、敷居が高すぎる。
ほどほどに難しく、ゲームを遊んだ充足感があるというのも、重要なポイントです。

慣れないうちは、草原ルールを抜けば簡単にプレイできる。
草原ルールを入れたら、また戦略性の高いプレイが楽しめる。
ゲーム自体に牧歌的な雰囲気があり、気軽にも、緻密にも遊べる。

そして、熟練すればするほど、相手の邪魔をしたりそれを防御したりと
様々な打ち方ができることに気づきます。
タイルの引き運と実力が、絶妙なバランスで共存しています。


家族で遊べて、万人受けするゲームです。子供でも一度ルールを覚えたら遊べます。
最初に買うドイツゲームとして、強くおすすめします。
最初に買った私が言うので本当に本当です。



5人まで対応しており、何人でも面白いのですが
いちばん楽しめるのは何と言っても2人プレイです。
2人対戦の世界選手権もあり、その予選である日本選手権と地方予選も毎年開催されています。
私も去年から出ては予選でボロ負けしているのが大変思い出深いです。
(この大会の参加記も、別の機会に書きたいと思います)

そのくらい戦略性高く遊ぶことができ、また奥深いので
興味があれば、参加してみても面白いのではないでしょうか。


iOSアプリもあります。
私が買ったときは800円だったかな、アプリにしては高いのですが
値段に見合う素晴らしい完成度で、買う価値はあります。オンライン対戦もできます。


ちなみに冒頭で書いたように、カルカソンヌは拡張セットもいっぱい出ていますが
筆者は基本セットしか持っていません。それでも十分遊べます。
いきなり拡張を買うよりも、まずは基本のカルカソンヌを十分遊んで
また違う楽しみ方をしてみたい、と思えば買ってみるのがいいかと思います。

おまけ。カルカソンヌクッキー。中野のバー「フローチャート」にて。



<2014/5/14>


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