No.07 ワンス・アポン・ア・タイム / Once Upon A Time

みんなで一つの物語を作りあげていく。「そこから先は私が」「いやいや、この続きは俺が」

作者Richard Lambert, Andrew Rilstone, James Wallis
リチャード・ランバート、アンドリュー・リルストーン、ジェームズ・ウォリス
人数2-6人
プレイ回数・人数2回/2、4人
時間30分
種別カードゲーム
ポイント【2人OK】【初心者向け】【家族向け】
ゲーム難度(5段階)2
評価(10点満点)8


先日6/1に東京ビッグサイトで開催された、ゲームマーケット2014に行ってきました。
いやあ暑かったですね!
もう完全に真夏だと思って衣替えをしたら梅雨がやってきて一気に寒くなったっていうこのタイミングの悪さね!

さて、今回はそんな熱気あふれる中購入した、期待の新発売カードゲームです。

といっても新作ではなく、なんと1993年初版(!)のゲームが
21年経ってようやく日本語になったという、面白い経歴を持っているとか。

なんでも「全員で一つの物語を作る」というゲームらしいのですが、
それがどうやってゲームになるのか?どのように勝敗を決めるのか?
そもそも物語が成立するのか?疑問が尽きません。

実際、購入してみて、開封しルールブックを読んで
最初に思ったのは

「これ、本当にゲームになるん?」

でした。
そんな衝撃のルール、これからご紹介します。

ルール

■準備

物語カード結末カードの2種類を、別々によく混ぜ、山札にします。
(物語カードには、普通のカードと割込カードの2種類がありますが、これらは一緒に混ぜます)

各プレイヤーに、結末カードを1枚、物語カードを(11-人数)枚、それぞれ配ります。
(たとえば4人の場合、物語カードは7枚になります)

カードの裏面です。左が物語カード、右が結末カード。美しいですね。

■目的

プレイヤーは、手元の物語カードに書かれた要素を使って物語を作り、それを皆に話します。
誰かが語る途中で、他のプレイヤーはその物語に割り込み、物語を引き継いで語ってゆきます。

物語カードを使い切ったプレイヤーは、結末カードを出し、物語を終わらせることができます。
最初に物語カードをすべて使い、結末カードを出して、
手札をすべて使い切ったプレイヤーが勝利します。


■手番プレイヤーの「語り」

最初のプレイヤーを適当に決めたら、そのプレイヤーから語り手となって
「昔々(Once upon a time)…」と、物語を語り始めましょう。

このとき、その話に関連する物語カードを、1文につき1枚だけ出せます。

こちらが物語カード。
「じんぶつ」「できごと」「ばしょ」「もの」「ようす」の5種類あります。

物語カードは、その文に登場し、かつその文の主要な要素でなければなりません。
無関係なカードや、重要でない要素のカードは、出すことができません。

例)
『昔々あるところに、心の清らかな夫婦が住んでおり、とても美しい指輪を持っていました。』
→このとき「夫/妻」「指輪」などのカードを出せる。ただし1文で両方は出せない。

例)
『ある日、黒いローブを纏った怪しげな老人が、洞窟や沼や森を越えて、夫婦の家にやってきました。』
→このとき「洞窟」「沼」「森」等のカードは、登場するが重要な要素ではないので出せない。

出したカードは、場の中央に、順番で表向きに並べておきます。
こうすることで、どんな物語になっているかを確認できます。

また、カードを出さないで、物語だけ作ることも可能です。
カードがうまく出せないなと思ったら、どんどん話をふくらませて
うまく次の物語カードにつないでいきましょう。

■パス

カードが出せない等の理由で語りが続かなくなったら、語り手はいつでもパスできます
パスしたら、山札から1枚物語カードを引き、その後手札を1枚捨てます。
そして、左隣のプレイヤーが新たな語り手となり、続きを語り始めます。

新たな語り手は当然、前に語られた物語と繋がるように語らなくてはなりません。

■他プレイヤーの「割り込み」

誰かが語っている途中、他のプレイヤーはパスを待つだけではありません。
2つの方法で物語に割り込むことで、新たな語り手となることができます。

1.(通常の)物語カードによる割り込み
2.割込カードによる割り込み

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まず1ですが
「語られた文に登場する要素の「物語カード」を持っていれば、それを出し、割り込む」
ことが可能です。

必ずしも主要な要素でなくとも、とにかく一致するカードがあれば出すことができます。
また、厳密に同じである必要もなく、概ね一致していれば問題ありません。

例)
『王は、城の地下に夫婦を連れてゆき、牢屋に閉じ込めてしまいました。』
→このとき「地下牢」のカードがあれば、割り込むことができる。

物語に割り込み、他のプレイヤーがそれを認めれば、割り込んだプレイヤーが新たな語り手となります。
割り込まれた語り手は、物語カードを1枚引きます。
(パスと違い、1枚捨てることはできません)

ただし、割り込みに失敗した(他のプレイヤーに認められなかった)場合、
カードを出したプレイヤーは、そのカードを捨て札にし、さらに山札から2枚引きます。

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次に2ですが、
「語り手が出した物語カードと「分類」が同じ「割込カード」を持っていれば、それを出し、割り込む」
ことも可能です。

上でちらっと触れましたが、物語カードには5種類の「分類」があります
「じんぶつ」「できごと」「ばしょ」「もの」「ようす」となっており、
これらに対応する「割込カード」というのが、特別な物語カードとして存在します。

語り手が出した物語カードの分類と、手持ちの割込カードの分類とが同じであれば
その割込カードを出して、語り手を引き継ぐことができます。

文中に「割込カード」の要素が登場している必要はありません。
また、続く物語に、割込カードの要素を出す必要もありません。

例)
『しかし、牢屋に閉じ込められた夫婦の前に、あの老人が現れて、彼らを魔法で鳥に変え、地上へと救い出しました。』
→語り手がここで「救われる(できごと)」のカードを出す。
このとき、「できごと」の割込カード「明らかになる」を手札から出し、割り込むことができる。
(次の語り手は、この「明らかになる」を、続く文で使う必要はない)

1と同様、割り込まれた語り手は、物語カードを1枚引きます。
もちろん、割込カードは「割り込みに使える」というだけで、
普通の語りに使用もできますし、1の「要素による割り込み」にも使用できます。

■異議申し立て

他にも、進行中の物語が

・矛盾している(例:死んだはずの人が説明なく生き返る。「お、おまえらーっ!」)
・迷走している(例:突然舞台が宇宙になる。同じ話がもう3回目である。)
・ナンセンス(例:中世の話なのに、力士の集団が登場する。)
・物語と関係ない(例:いかにも思わせぶりな騎士が登場したが、その後一切物語に関与しない。)
・話が止まった(例:「えーと、ほらその、あれだよあれ、だからあの、なんだ、ほれ」)

このようなことがあった場合、他のプレイヤーは異議を唱えることができます。

異議が他のメンバーに認められたら、語り手は割り込まれた時と同様に物語カードを1枚引きます。
また、最後の物語カードが妥当でないとされた場合、そのカードも手札に戻さなくてはなりません。
つまり、

他の人の話もちゃんと聞いて、辻褄の合う物語を作らなくてはならない

ということです。難しいですね!

※異議が不採用でも、罰則はありません。
※当然、語り手や場の雰囲気によって、異議を唱えるかどうかは調整してください。
 特に話すのが苦手な人や子供などの場合、あまり厳しくルールを適用しない方がよいです。

■結末

物語カードを全て出した語り手は、結末カードを公開して物語を終えます

結末カード、全51枚。内容は実にさまざまです。

どんな物語でも、最後は必ずこのカードで終わらせないといけないのがポイントで、
つまり手持ちの結末を踏まえて最初から物語を展開していく必要があるわけです。

結末が妥当であると他のプレイヤーに認められたら、この語り手の勝利です。
認められなかったら、語り手は結末カードを捨て札にして新たに1枚引き、
さらに物語カードも1枚引きます。
それから、語り手を左隣に移して、話を進めます。

手順のまとめ


カードを引くタイミングがややこしいので、自分の備忘のためにまとめておきます。

準備物語カードを(11-人数)枚、結末カードを1枚配る。
語り1文につき1枚だけ物語カードを出せる。出さなくてもよい。
パス物語カードを1枚引き、1枚捨てる。
割り込み同じ要素の物語カードか、同じ分類の割込カードを使う。
成功したら、前の語り手は物語カードを1枚引く。
失敗したら、割り込んだプレイヤーはそのカードを捨て、物語カードを2枚引く。
異議認められたら、前の語り手は物語カードを1枚引く。最後のカードが認められなければ、それも引き取る。
認められなければ、そのまま語りを続ける。
結末認められたら、そのプレイヤーの勝利。
認められなければ、結末カードを捨てて新たに1枚引き、物語カードも1枚引く。

遊んでみた


これはやってみなきゃ分からんということで、買った当日、大井町の喫茶マーブルで4人プレイ。

ルールブックを他の人に見せても、やっぱり
「確かにこれ、本当にゲームになるのかって感じしますね」
との感想。ですよね。すごい不思議なルールだよ。

カードは公開していくので、どんな話だったかだいたい思い出せます。
確かこのときは「愚かな男が街を追い出されて、夢の中で鳥になったが、王様の怪物と戦ってどうのこうの」
という話になったような気がします。最後夢オチで無理やり終わらせたっていうね。

感想


これが果たしてゲームなのかと言われると正直よく分からないのですが、でも俺こういうの大好きだわ。
だって、カードの縛りがあるとはいえ何話してもいいんですよ?すごくないですか?

ルールだけ聞くと、「本当に何をどう話してもいいの?それで他人に手番が渡るの?ゲームが成立するの?」
と思えますが、とにかく先に手札を無くした者勝ちという前提があるため
人の話に割り込む強い動機付けができるので、意外と大丈夫です。

ほかの人が語る最中にも、いつ割り込むかと常に考えますし、
何よりその話を聞いていなくては自分が語れないので、いきおい真剣になります。
そして、それぞれの結末が異なるので、全員が無理やりにでも自分の話に引っ張ろうとする。
暇な時間はありません。実に濃密です。

もちろん、得意不得意が出るゲームではあります。
小説やマンガをよく読んだり、自分で書いたりする人なんかはきっと得意でしょうし
逆に「お話」を語ることに慣れていないと、難しいでしょう。

ですがこれは、そういう腕の優劣を競うゲームではなく、
むしろ予想もつかない方に話が転がっていったり、他人の思いもよらない展開を楽しんだりする、そういうゲームだろうと思います。

「最小限の文章で効率よく語ってカードを出していく」のも一手だけれど、
「どんどん話をふくらませてゆき、割り込みを積極的に許容する」のも全然ありです。
別の方がTwitterでおっしゃっていたのですが、語り手どうしの微妙に異なるスタイルが混ざってゆく、その混沌ぶりが楽しいと。

きっちり定められたルールのもと、プレイヤー同士で勝利を競い合う、といった
いわゆる「ゲーム」ではありません。
だけど、競い合うような協力しあうような不思議な感覚で、一つの「物語」に関わってゆく、
普段なかなかしない経験ができる。
そういう意味では、素晴らしい作品です。

人数は、2人でもそれなりに楽しめましたが、やはり大勢でプレイするほうがいいですね。
話が展開するほど、収拾がつかなくなっていくのもまた一興です。

カードもご覧のとおり美しく、一枚一枚異なる挿絵が添えられているのも楽しい。

家族でもよし、気心知れた人でも、初対面の人でもよし。
いろんな人とやってみたいゲームです。

<2014/6/7>

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